会議種別:
参議院本会議(国務大臣の演説に関する件)
会議日時:
2011年1月28日(金曜日)午前10時1分開議

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発言者
 発言内容 
(省略)
副議長  広野ただし君。
〔広野ただし登壇、拍手〕
広野ただし  民主党の広野ただしです。
 民主党・新緑風会を代表し、平成二十三年度政府予算案、政府四演説について質問をいたします。
 その前に、鳥インフルエンザの蔓延、拡大が懸念されておりますので、民主党も一月二十六日に対策本部を発足させましたが、政府、関係自治体におかれましても、万全の対策をお願いするとともに関係被害に対する充実した支援を要請したいと存じます。また、風評被害にも万全の対策をお願いいたします。
 さて、二〇〇九年夏、民主党が歴史的な政権交代を果たしてから約一年半がたちます。平成二十三年度予算案は、民主党が最初から本格的にかかわる初めての予算です。私は、その編成に当たっての根本的な基本方針は政権交代の二〇〇九年マニフェストと考えていますが、最近、財源問題等を理由にマニフェストの検証、見直し論が横行しております。マニフェストは国民との間の公約であり、民主主義の下で政権を担う場合、より高い正当性を持つ政策として政治主導の根本を形成するものです。また、民主党のマニフェストは衆院任期の四年間に達成する手順も示しています。
 そこで、菅総理に伺います。
 政権交代から約一年半しか経過していない今からマニフェストの見直しを言うのは、余りにも早過ぎるのではないでしょうか。少なくとも最重要公約については、もっともっと実現の努力に全力を注ぐべきではないでしょうか。もちろん、マニフェストの細部について絶対に変更すべきではないと申し上げているのではありません。しかし、最重要の公約は国民との公約であり、契約的な意味合いを持つものです。約束は守るものです。最重要公約の大幅な変更は、国民との約束を破ることになるのではないでしょうか。また、最重要公約を大きく変更する場合はどうなるのでしょうか。最重要公約の大きな変更で国民の信を問う場合があるかどうかについても答弁願います。
 民主党は、衆議院任期の四年間、すなわち二〇一三年までは消費税は上げない、上げる場合は選挙で信を問うというのがマニフェストの最大、最重要公約であったと考えますが、その点も確認させてください。
 政権交代時に国民に公約した第一番は、政治主導の確立でした。国民は、省あって国益なしの各省の縦割り的官僚主導政治の脱却を民主党に期待しました。大臣、副大臣、政務官の政務三役を政府内に数十人配置し、国会答弁も三役で担当することが非常に多くなりました。これは大きな進展です。しかし、最近は、どうも実際のところは官僚政治が復活しつつあるのではないかという懸念が大きくなっています。
 二〇〇七年、約四千五百の政府関係法人に二万五千人以上が天下っていましたが、天下り、わたりが全面的に本当に禁止されているのでしょうか。総理に伺います。
 また、昨年暮れになって、突然、国際協力銀行、JBICが日本金融公庫から分離独立することとなりました。統合して二年余りしかたっていません。原子力発電、水、新幹線等のインフラを海外に輸出するための投融資を迅速かつ機動的にという理由ですが、どうも財務・金融関係省庁の官僚に乗せられたとしか思えません。財務大臣に伺います。
 特別会計、独立行政法人、特殊法人、政府関係公益法人等への切り込みもまだまだ不十分で、全く道半ばという状態です。
 先日、「武士の家計簿」という映画を見ました。江戸末期、加賀藩のそろばん武士と蔑まれていた猪山家が、まず自分の家の借金を妻や祖母の嫁入り道具を売り払ったりして、苦労して、まず家の生活を立て直し、さらにそろばん武士の帳簿感覚を基に加賀百万石の財政改革を成し遂げ、またその息子が明治維新後の海軍省の主計として国家財政改革にも貢献するという映画ですが、本当に感銘を受けました。各省庁の会計責任者や事業仕分関係者にも是非お勧めしたい映画です。
 また、日本の軽自動車メーカーのカリスマ会長が、リーマン・ショック後、社長職に戻られ、カラーコピーはお客さん以外は使わないということで二百数十台の機械をなくし、ホッチキス等の文具の集中管理、新聞各紙の回し読み等で、一社で百数十億円の節約をされたことも有名な逸話です。小中学校の耐震工事数十校分にも当たるお金で、無視できません。
 民間では、乾いた雑巾でも絞って絞って工夫して、大変な節約や無駄を省いています。それに比べると、役所並びに関係機関はまだまだずぶずぶのぬれ雑巾です。ちょっと絞っただけで、もっともっと大きな節約や無駄を省けるものと思います。更なる工夫、節約が可能と考えますが、改めて総理の見解を伺います。
 地域主権は民主党政権の目玉です。地域主権改革の目玉として、一括交付金約五千億円の計上、二十四年度一兆円が提示されていますが、地方が本当に自由に使えるものなのか、お答えください。
 また、昨年、参院を通過した地域主権改革関連三法案は現在継続審議中であります。地域主権改革を更に強力に推進し、地方のことは地方が決める、真の地域主権改革、すなわち財源も権限も地方に思い切って移譲して、速やかに実現すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 マニフェストにあるように、国の出先機関と地方との二重行政を解消し、地方に大幅に移譲することにより、国家公務員の総人件費を大幅に削減すること、また、公務員の労働基本権の制約問題を解決し、自律的な労使関係を実現することにより、労働条件を民間と同様交渉で決められるような柔軟性を持たせる考えなど、公務員制度改革についての総理の見解を伺います。
 政治主導とリーダーシップ、そして挙党体制について伺います。
 選挙によって勝利し、国民から信任を受けたマニフェストや政党、そして政治家は、民主主義の下では官僚と違ってより高い正当性を与えられ、リーダーシップを得ることにもなります。議会制民主主義では、内閣は与党に支えられての内閣だと考えます。総理、各大臣などのリーダーシップの根源は、そういう意味では挙党体制をいかに構築するかにあると思います。強いリーダーシップを築くためにも、排除の論理ではなく、包容力のある融和の政治で挙党体制を築くことが極めて重要と考えております。真の挙党体制が築かれないと、野党の協力も得られないし、すきをつかれることにもなりかねません。総理の見解を伺います。
 経済関係の問題について伺います。
 年初頭から経済人の声は、今年の日本経済は薄明かりというものです。しかし、その回復は言わば病み上がりの状態で、いつまた再入院になるか分からないわけで、政府は注意深く経済運営を図らなければなりません。
 特に、昨年は、前年の平成二十一年度補正予算の活用もあり、日本経済には大きなカンフル注射、すなわち景気刺激策がなされましたが、平成二十三年度は、財政事情もあり、前年度ほどの景気刺激策はなく、言わば出口戦略が求められていると思います。政治の責任で、大手企業の薄明かりが早く中小企業や地方経済にも及ぶようにしなければなりません。
 ところで、世界経済の大不況を招いたリーマン・ショックがどうして起こったかを我々は肝に銘じ、二度とその轍を踏まないようにしなければなりません。
 リーマン・ショックは、一言で言えば、世界中でマネーゲームをし、それが実体経済から余りにも懸け離れ、バブルが一挙に破裂したことから生じたと言っても過言ではありません。
 グローバル化は、国境を越え、ジンギスハーンではありませんが、天尽き地果つるまで、世界の果てまで野を焼き尽くすかのごとく、市場化、マネー化を推し進めていきます。しかし、これには光と影があります。ローカルなものや国の発展度合いの違いなどが無視され、伝統ある良いものが失われてしまうのではないでしょうか。
 言わば、強者の論理です。しかし、今回のリーマン・ショックは、強者のはずのアメリカ・ウォール街の金融投資関係企業が真っ先に破綻又は破綻寸前の状態になりました。皮肉なことであります。つまり、市場原理主義やグローバル化だけでは駄目で、ローカル尊重、伝統や歴史の尊重、人間尊重でなければならないという教訓になったのではないでしょうか。
 菅総理は、平成の開国と銘打って日本の大々的な自由化をされようとしていますが、グローバル化で、天尽き地果つるまで、世界の果てまで日本を導こうとしておられるのか、ローカル尊重、地域や人間尊重、国民生活第一の理念をどう考えられるのか、お伺いいたします。
 ここ一、二か月、石油や穀物、国際商品等の値上がりが顕著になってきています。国際経済の需給によるものではなく、世界的金余りの現象の中で、またぞろマネーゲーム、投機的な動きが一部見えてきているのではないかと懸念します。実体経済から懸け離れた過度のマネーゲームや過度の投機筋の動きは必ずいつか世界経済に悪影響をもたらします。
 投機マネー的色彩の強いファンドなどの透明性確保など軽い規制について、国際協調の下、G20などで話し合う用意はないのか、野田財務大臣に伺います。
 現在の世界経済は、石油本位制ともいうべき実態にあります。石油が急速に高騰した場合、国際エネルギー機構、IEAなどで、国際協調で国家備蓄を放出することも検討するという話合いの場設定だけでも石油価格安定に好影響を与えると思いますが、海江田経済大臣に所見を求めます。
 環太平洋経済連携協定、TPPと農業問題について伺います。
 さきの臨時国会で菅総理は、突然、環太平洋経済連携協定、TPP参加の検討を言い出されました。農業関係者や農業と密着する地方の方々はTPP反対の大合唱です。
 六月までに農業強化策をまとめることとなっていますが、ウルグアイ・ラウンドのときも六年間六兆円規模の農業強化策が取られました。もっとも、このときは土地改良などの農業土木が中心で、本当の農業強化策とはならなかったのは誠に残念です。
 このことを考えると、TPP参加の大前提として、現在疲弊している日本農業の根本的立て直しと強化のため、財政難ではあるが、ここ数年で例えば十兆円規模の、十兆円の規模に収まるかどうか分かりませんが、大胆な農業強化策を上乗せで必ず実施する、その詳細な内容は六月までに策定すると、まずは菅総理が自ら早急に決意を表明すべきと考えますが、総理の見解を伺います。また、農業強化策の大筋、概要を農水大臣に伺います。
 また、地域ブロック化のおそれもあるTPPへ一足飛びに行くのではなく、世界的な世界貿易機関、WTO交渉の実現と、まず二国間の自由貿易協定、FTAや経済連携協定、EPAの積み上げで着実に開国を進める道が日本の行くべき道と考えますが、海江田大臣の所見を伺います。
 外交問題について伺います。
 昨年秋の尖閣列島沖の事件について国民の皆さんの総体的な受け止め方は、もっと日本は毅然と対応すべきだったということだと思います。尖閣列島には一八〇〇年代から、海鳥から羽毛布団の原料を採取する日本人や、漁や狩りをする日本人が住んでいた記録があります。もちろん、日本の固有の領土であります。民有地で、所有者との関係がありますが、政府は早急に海上保安庁の巡視船の寄港地や灯台を建設するべきだと考えます。総理の決意を伺います。
 次に、拉致問題について伺います。
 私は拉致特別委員会に長年所属していますが、菅政権になってから拉致問題担当大臣が中井大臣、柳田大臣、仙谷大臣、そして現在の中野大臣と、約半年間の間に四人も替わっています。大臣が替わるたびに、また一からやり直しだ、がっかりすると拉致被害者の家族の方が言っておられます。二〇〇三年、拉致被害者が五人、家族関係者を含めて十三人が帰国されてからもう六年がたち、被害者家族の方々も高齢化されつつあります。しかも、現在、拉致問題は言わば膠着状態にあります。
 また、昨年の延坪島砲撃事件以後の不穏な朝鮮半島情勢を考えたとき、総理はどのような手順で拉致問題や核、ミサイル等の問題に取り組まれるのか、拉致被害者家族の不安を少しでも取り除くよう、その実行手順をお答えください。
 沖縄の基地負担軽減問題と日米同盟関係について伺います。
 本土復帰から約四十年が過ぎましたが、沖縄に約七五%も集中する米軍基地の負担軽減の問題は今も大きな課題となって残っています。この現状を打開するため、鳩山前総理は非常な努力をされましたが、まさに志半ばで退陣となりました。沖縄の負担軽減のため、歴代総理以上に沖縄の側に立って日米交渉に当たられたと考えます。
 太平洋戦争末期、昭和二十年六月、沖縄戦での自決を前にして、大田実中将の「沖縄県民斯く戦えり、県民に対し、後世、特別の御高配を賜らんことを」の電文に集約されるように、私たちは日米同盟関係を維持しつつも、沖縄の更なる負担軽減のため、誠意を持って最大限努力していくべきではないかと考えますが、総理の見解を伺います。
 私、広野ただしの座右の銘は、徳は孤ならずであります。人徳の徳のことで、徳のある人のところにはおのずと人が集まってくるという意味です。政治のモットーも徳のある政治です。ところで、中国では、水を飲むときには井戸を掘った人の恩を大切に思い起こせということを言うそうです。民主党が二〇〇九年夏に政権交代を実現したことの最大の功労者は、鳩山前総理と小沢一郎元代表だということに異論はないと思います。現在の菅政権及び民主党執行部は、一部の人を除き、恩を忘れた政治に陥っているのではないでしょうか。
 私は、現行の検察審査会法は、一方的な人権侵害をもたらす憲法違反のおそれのある法律だと思っています。プロの検察が徹底的に捜査をし、二度も不起訴にした案件を新たな証拠もなしに強制起訴をする。もし、足利事件や厚生労働省の村木事件のように裁判で無罪になった場合、つまり冤罪ということになった場合の責任は検察審査会はどのように取るのでしょうか。また、その冤罪をあおり、著しく人権を侵害したマスコミやそれに加担した人たちはどう責任を取るのでしょうか。裁判は冷静に見守るべきです。最後まで人権は守られなければなりません。
 菅政権及び民主党は、井戸を掘った人を大切にする政治をすべきであります。恩を忘れた政治は子供たちの教育にも良くありません。親の恩を忘れてしまうことにもなりかねません。
 菅政権、そして民主党は、この案件を含め、国民に徳のある政治、国民の生活第一の政治、二〇〇九年夏に国民に約束したマニフェストの原点に返り、この公約を真剣かつ真っ正面から誠意を尽くして実行すべきだと強く訴えまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
内閣総理大臣
(菅直人君)
 広野ただし議員にお答えを申し上げます。
 まず、消費税など、マニフェストの見直しについての御質問にお答えをいたします。
 まず、マニフェストは国民に対する約束であり、現在着実に実行されていることは御存じのとおりであります。二十二年、二十三年度予算を通して、子ども手当、そして高校授業料無償化、農業者戸別所得補償、就職支援など、多くの事柄が実施され、また着手をされております。同時に、今後もマニフェストについてはその実現に向けて全力で取り組んでいくことは当然のことだと考えております。
 一方、二年間推進してきたことを踏まえ、マニフェスト制定時と今日の状況の変化や国民の声を含め、衆議院任期の折り返しを迎えるに当たり、検証作業を党として行うことを考えております。もちろん理念や根本を変えるものではありませんが、検証によって見直しが必要と判断される場合は国民に丁寧に説明をし、理解を得ていきたい、これが党の方針であることは御存じのとおりであります。
 社会保障改革と税の一体改革は国民利益のために避けて通れない最重要課題であると認識しておりますが、仮に消費税率を引き上げるようなことがあれば、実施をする前に民意を問うという方針には全く変更はありません。
 次に、天下り、わたりについて御質問をいただきました。
 天下り、わたりについては、国家公務員法の職員による再就職あっせんの禁止に加え、民主党政権発足後直ちに府省庁によるあっせんを禁止するなどの措置を講じ、そのあっせんを全廃したことは御承知のとおりであります。
 次に、無駄の削減の強化、徹底について御質問をいただきました。
 無駄遣いの排除は、マニフェストにおける国民との約束であり、政権の最重要課題として従来にない規模と熱意で取り組んでまいりました。これまで、独立行政法人や政府系公益法人が行う事業、特別会計等について三度にわたり事業仕分を実施し、過去のしがらみにとらわれることなく大胆に切り込むことにより、無駄の削減を実現をしてきたところであります。
 今後は、これまでの仕分の結果を踏まえ、独立行政法人の制度、組織の見直し、特別会計制度の見直しなどに取り組んでまいります。また、国民に必要なサービスをより効率的、効果的に提供するため、行政刷新会議の下に公共サービス改革分科会を設置し、政府機関が行う調達の効率化に取り組んでおり、共同調達の拡大など具体的な取組を進めてまいります。
 無駄削減に終わりはない。今後とも、一円の無駄も見逃さない姿勢で無駄の削減を一段と強化、徹底してまいります。
 次に、地域主権改革についての御質問にお答えします。
 地域主権改革は、この政権の最重要課題であることは御承知のとおりであります。一括交付金については、当初、各省から提出された財源は僅か二十八億円でしたけれども、私から各閣僚に強く指示をし、来年度は五千百二十億円、平成二十四年度は一兆円規模で実施することになりました。
 一括交付金は、対象となる事業において、各府省の枠にとらわれず自由に事業を選択して使えるものであり、地方の裁量を大きく拡大するものであります。地方への事務権限の移譲や財源の移譲等については、出先機関のアクションプランや地域主権戦略大綱に基づき確実に進めていく予定であります。引き続き、私が議長を務める地域主権戦略会議を中心に政治主導で改革を強力に進めてまいります。
 次に、出先機関改革による国家公務員の総人件費の削減と自律的労使関係制度の措置についての御質問にお答えします。
 民主党マニフェストにある国家公務員の総人件費を二割削減するという目標については、まず第一に地方分権推進に伴う地方移管、第二に各種手当、退職金等の水準や定員の見直し、第三に労使交渉を通じた給与改定など、様々な手法を組み合わせることにより平成二十五年度までにめどを付けることとし、その目標達成に向けて取り組んでまいりたい。また、公務員制度改革、とりわけ公務員の労働基本権については政府としても大変重要な課題であると考えており、自律的労使関係制度の措置など、国家公務員制度の全般的かつ抜本的な改革を実現するための法律案を今通常国会に提出することといたしております。
 挙党体制についての御質問をいただきました。
 広野議員の御指摘はごもっともであり、民主党政権を内閣、与党一致して担うことが国民の期待にこたえる道だと考えております。昨日も輿石参議院議員会長にお答えしましたが、代表としても常に党の結束に心掛けてまいりたいと思っております。今の日本は簡単に危機を乗り越えられる状況にはありません。この危機を乗り越えられるかどうかの責任を負っているのが民主党であり、挙党一致、一丸となって改革を成し遂げていこうではありませんか。
 野党にすきをつかれないようにというアドバイスをいただき、ありがとうございました。広野議員におかれましても、是非野党にすきをつかれることがないよう御配慮をよろしくお願い申し上げます。
 平成の開国についての御質問にお答えいたします。
 平成の開国というのは、決して御指摘のような市場原理主義ではない、経済を開くことで世界と繁栄を共有することが可能になり、その恩恵は国民に戻ってくるものであります。平成の開国に挑むためにも、国民の皆様が夢を追いかける大前提として、病気、貧困、失業といった不幸の原因をできる限り小さくし、最小不幸社会の実現を確実に進めたい。何よりも、社会保障制度を万全なものとすることで国民の将来に対する不安を払拭し、地域の絆が大切にされ、個人がお互いにお互いを尊重する社会を築いてまいりたいと考えております。
 次に、農政の方向性についての御質問にお答えします。
 我が国の農政は、過去二十年で生産が二割減少し、若者の農業離れが進み、農業従事者の平均年齢は六十六歳に達しております。いずれにしても、その農業再生は待ったなしの課題であります。昨年閣議決定した包括的経済連携に関する基本方針においては、二者択一ではなく、高いレベルの経済連携の推進と我が国の食料自給率の向上や国内農業・農村の振興とを両立させ、持続可能な力強い農業を育てるための対策を講じることといたしております。
 農業を立て直すには、財政措置と併せて六次産業化や農地集約など農業を魅力ある産業に変えていくことが重要だと、広野先生の御指摘は大変重要な御指摘だと思っております。引き続き、内閣の食と農林漁業の再生実現会議で集中的に議論をし、六月をめどに基本方針、十月をめどに行動計画を策定することにいたしております。
 次に、尖閣諸島が我が国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いがなく、現に我が国はこれを有効に支配をいたしていることはもちろん御承知のとおりであります。
 巡視船の寄港地等としての港湾の整備や新たな灯台の設置については、必要とされる機能や需要等を踏まえ、政府全体で慎重に検討することが必要だと考えております。
 北朝鮮問題についての御質問にお答えします。
 拉致問題は、我が国の国家主権及び国民の生命と安全にかかわる重大な問題であります。国の責任において全ての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現するため、全力を尽くしてまいります。例えば、情報の収集、分析については、拉致問題対策本部事務局の体制を拡充するとともに、関連予算を大幅に増額し、取り組んでおります。
 北朝鮮から拉致問題の解決に向けた具体的な行動を引き出すべく、引き続き関係国と連携して最大限努力をしてまいります。
 十二月には拉致被害者の御家族とお目にかかりまして、拉致問題解決に向けた決意を新たにしたところでありますが、拉致被害者の皆さんの帰国を実現するために、政府としてやれることは何でもやるという覚悟で臨んでまいりたいと思います。
 また、北朝鮮の核及びミサイル開発は我が国の安全保障上の脅威であり、北朝鮮に対しては挑発的行為を繰り返さないよう強く求めてまいります。韓国や米国を始めとする関係国と緊密に連携しつつ、非核化等のための具体的行動を求めていく考えであります。
 次に、沖縄の基地負担軽減に関する質問についてお答えします。
 本土復帰から約四十年が過ぎたが、沖縄だけ基地負担の軽減が遅れており、おっしゃるとおり米軍施設・区域が集中している状況にあることは、私も本当にざんきに堪えない思いがいたしております。政府としては、沖縄に集中する基地負担の軽減に全力を尽くさなければなりません。
 負担軽減の具体策としては、例えば航空機訓練のグアムへの移転を始めとした訓練移転の拡充、在沖海兵隊のグアム移転事業の着実な実施、米軍施設・区域の返還の更なる進展などについて、米国との協議をしながら前進させてまいりたいと考えます。
 政府としては、沖縄の一層の負担軽減を実現すべく、沖縄政策協議会などの場で沖縄の方々の御意見も伺いながら、全力を挙げて取り組んでまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
国務大臣
(野田佳彦君)
 広野議員からは、国際協力銀行の分離についての御質問をいただきました。
 我が国の成長を実現するためには、アジアを中心とする海外の膨大なインフラ需要を取り込み、官民一体となって我が国産業の国際競争力を強化していくことが不可欠でございます。
 こうした中、経済界等からは、民間企業の海外事業を機動的に支援するため、先進国向けの輸出金融を可能とするなどのJBICの機能強化を行うとともに、その機能強化の実を上げるためにJBICを日本政策金融公庫から分離し、業務の機動性、専門性等を強化することが必要との意見が出されています。
 こうした意見を踏まえ、昨年十二月、民主党成長戦略・経済対策プロジェクトチーム、これは参議院の直嶋先生が座長でございますが、御議論をいただき、そしてそれを踏まえて、パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合において、JBICの機能強化を行うとともに、日本政策金融公庫から分離する方針が決定されたところでございます。
 このように、経済界の御要請や党の御提言などを踏まえた対応であり、官僚に乗せられたという御指摘がございましたが、これは当を得ていないということで、くれぐれも御理解をいただきたいと思います。
 続いて、投機マネー的色彩の強いファンドへの規制についての御質問がございました。
 金融機関が過度にリスクを取り、金融規制・監督が十分に機能しなかったことが金融危機を招いたとの反省の下、G20では金融規制改革が主要な議題の一つとなってきたところでございます。また、一次産品価格の高騰が今後の世界経済の下振れ要因とされる中、今後のG20では一次産品の価格変動についても議論がなされる予定であり、金融市場の規制、現物市場の透明性向上等が検討される見込みです。我が国としても、世界経済の着実な成長を実現する観点から、委員御指摘のとおり、こうした議論に積極的に参加をしてまいりたいと思います。(拍手)
〔国務大臣海江田万里君登壇、拍手〕
国務大臣
(海江田万里君)
 広野ただし議員より二点御質問がございました。
 まず一点目でございますが、石油市場安定に関する御質問をいただきました。
 広野ただし議員既に御高承のとおり、石油市場の安定につきましては、消費国を中心に構成されるIEA、国際エネルギー機関だけではありませんで、産油国と消費国の議論の場でありますIEF、国際エネルギーフォーラムやアジア産油国消費国会合等の場において、石油需要情報等を集約し、市場の透明性を向上させるなど、産油国と消費国の双方が協調して取り組んでいるところでございます。
 そして、備蓄の放出は供給支障が生じたときに発動すると認識をしておりますが、今後開催されます二月のIEF閣僚会合や四月のアジア産油国消費国会合等において議論を深め、御指摘のありましたエネルギー市場の更なる透明性確保など、市場の安定に向けて引き続き取り組んでまいります。
 次に、WTO交渉の実現と経済連携交渉に関する御質問をいただきました。
 貿易・投資の自由化と国際ルールの強化は、我が国が世界と繁栄を共有するために重要な手段でございます。WTOドーハ・ラウンドと経済連携交渉の双方にしっかりと取り組みたいと考えております。
 WTOにつきましては、二〇一一年が交渉妥結にとって重要な年になります。私自身、明日二十九日にダボスで開催されますWTO非公式閣僚会議に出席する予定であり、主要国閣僚と協議し、早期妥結を働きかけていきたいと思います。
 TPPにつきましては、我が国と切れ目のないアジア太平洋地域を形成するために重要なアジア太平洋自由貿易圏、FTAAPでございますね、この構築に向けて唯一交渉がスタートしているものでございます。これは多国間による貿易・投資の共通のルールを形成するということを目指すものでございますが、二国間のEPA、FTAでは得られないものでございます。二国間のEPA、FTAの推進とともに検討していくことが肝要だと考えております。(拍手)
〔国務大臣鹿野道彦君登壇、拍手〕
国務大臣
(鹿野道彦君)
 広野議員の御質問にお答えしたいと思います。
 農業強化策についてのお尋ねでございますが、我が国農業は、農業従事者の高齢化あるいは後継者難、そして収益が低いと、こういうようなことで、将来に向けてその持続的な存続というものが大丈夫なんだろうかと、こういう危惧の念も出ておる今日であります。そういう中で、体質強化によってその潜在力というふうなものを引き出す政策が大変大事なことではないかと、こんなふうに考えております。
 このために、現在、食と農林漁業の再生実現会議におきまして精力的に議論を行っているところでございますけれども、私といたしましては、新しい農政の柱といたしまして、戸別所得補償制度、農林漁業、農山漁村の六次産業化、食の安全、安心の確保というものを大きな柱といたしまして、これから農林水産品の輸出拡大等も含めまして具体案を練ってまいりたいと思っておるところでございます。(拍手)
(省略)