会議種別:
参議院予算委員会
会議日時:
2011年11月11日(金曜日)午後1時開会

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発言者 発言内容
委員長  予算の執行状況に関する調査を議題とし、環太平洋パートナーシップ協定等に関する集中審議を行います。
 これより質疑を行います。広野ただし君。
広野ただし  民主党・新緑風会を代表しまして質問をさせていただきますが、まず、西岡武夫議長の急逝に当たりましては、西岡先生は、本当にしっかりと物を決められたらてこでも動かれないと、こういうすばらしい偉大な政治家でございました。教育、また人材育成については人一倍熱心な方で、私たちはそれをまた肝に銘じて、遺志をしっかりと継いで頑張っていきたいと、こう決意を新たにするわけでございます。
 ところで、今日はTPP、トランス・パシフィック・パートナーシップ、このTPPについての集中審議ということでございます。まず、その概要というか、これはもう国民の皆さんがテレビを通じて、テレビの裏には国民の皆さんができるだけ理解を深めたいと、そういう気持ちでおられると思いますので、できるだけ分かりやすく政府側においても御説明いただければと思います。(資料提示)
 御承知のように、TPPは現在は九か国。最初は、シンガポール、ブルネイ、ニュージーランド、チリだったですかね、四か国、P4から始まって、そしてその後随時増えてきて、昨年アメリカが入って九か国ということで発足をしています。十か年の間に原則貿易自由化、関税撤廃をすると、こういうふうに理解をしております。人、物、金、サービス等の自由な移動というもののほかに、公正な取引形態あるいはいろんな制度改革、こういうものが含まれているんだと、このように思います。
 非常に多分野にわたっていまして、物品市場アクセス、この中も工業製品、そして繊維・衣料品、また農業品というような形でありますし、そのほかに、この二十一のほかに首席交渉官会議というようなものも置かれているということでございます。
 それで、国論をまさに二分あるいは三分をする、賛成、反対、条件付賛成とか、いろんな形で今議論がなされておって、総理も熟慮中の熟慮ということで間もなく決断をされるんだと、こういうふうに思っております。そういう中で、これだけ議論が分かれておることでは、私はやっぱりそれぞれに言い分はあるし正しいところもあるんだと思っております。このTPP交渉に参加することによって、いいこともあるかもしれないけれども失うものもあるんじゃないかと。そういう中で非常な議論がある。また、もう少しいろんな形で対抗措置といいますか救済措置的なもの、安全ネットというものを整備をすれば、ある意味でまだいろんな理解が深まるということもあるんではないかと思っております。
 そういう中で、そのTPPの意義の中で、まず経済的な利益といいますかメリットというものを、これをできるだけ簡潔に総理からお伝えいただけませんでしょうか。
内閣総理大臣
(野田佳彦君)
 まず、広野委員の御質問にお答えをする前に、先ほど黙祷をささげさせていただきました西岡先生でございますけれども、私もかつて、教育基本法改正の審議が行われているときに、民主党として日本国教育再生法というすばらしい対案を作っていただきました。私はそれを預かって衆議院の委員会で審議をする筆頭でございまして、大変熱心な御指導をいただいたことを強く記憶をしています。改めて御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
 その上で、TPPの経済的な効果についてのお尋ねがございました。
 内閣官房による試算では、TPP協定交渉九か国と我が国が物品貿易について一〇〇%関税撤廃した場合、結果として日本の実質GDPが二・七兆円増加するとの結果が得られております。これは関税引下げに限られた試算であり、サービスや投資の自由化、貿易円滑化などの分野の改善が実現をすれば更に追加的な効果があると考えられています。
広野ただし  それで、一番今、JAグループですとか農業関係者、そういう方々、あるいは地方自治体、そしてまた地方の方々から、心配をしておられる、また非常な反発というか反対論もなってきている。そういう中で、経済的損失といいますか、こういうことになるとどういうことに損失が出てくるのか、農水大臣に伺います。簡潔にお願いします。
国務大臣
(鹿野道彦君)
 昨年の十一月に、全世界を対象にしていわゆる米あるいは麦など三十三品目を国境措置を全て全廃した場合に、そしてその際何も国内対策を講じない場合というこの影響は、農林水産物の生産減少分が四・五兆円程度になると、そして農林水産業及び関連産業のGDP減少額が八・四兆円程度になると、このように試算したところでございます。
 TPPに関しましては、まだ具体的な数字というものは詰めておらないところでございます。
広野ただし  総理、経済的なメリットだとか、そればっかりだとは思いません。世界の中で相互依存関係がどんどん深まって、いろんな、そういう貿易あるいは投資の交流ばっかりじゃなくて、文化的な交流、様々なものがあると思いますが、今、経済的なメリット、デメリットを比べただけでは損失の方が大きいんじゃないかと思われますけれども、その点についてはどうでしょうか。
内閣総理大臣
(野田佳彦君)
 今の内閣府でまとめた試算と農水省のまとめた試算でいえばそうなりますけれども、ただ、前提の置き方が全く違うということで、特に農水省の場合は何も政策を講じなかった等々のそういう試算でありますので、これちょっと一概には言えないんではないかと思います。
広野ただし  確かに、前提条件とかいろんなそういうものはあると思いますし、あくまで試算は試算だと思います。だけれども、一番TPPに交渉参加をしていくときにやっぱり大きな、何といいますか、メリットというか、経済的な以外の分野においてもどういうことを思っておられますか。
内閣総理大臣
(野田佳彦君)
 我が国と、我が国だけではなくてAPECに参加をしているエコノミー、去年の横浜でのAPECの際に首脳が集まって合意をしたことがあります。それは、二〇二〇年までにアジア太平洋地域の自由貿易圏をつくる、FTAAPを実現をしていく、その道筋の中にASEANプラス3、ASEANプラス6、TPPとあると、こういうものを、道筋を通じて実現をしていこうということであります。
 ということは、このTPPを通じてアジア太平洋地域の貿易やあるいは投資等々のルール作りをしていくと。これは今九か国で議論をしていますが、開かれたものであるので、更にほかの国が参加をする可能性もあるという中でそういうルール作りをきちっとやっていくということが一つのメリットではないかというふうに思います。
広野ただし  ある意味では、TPPは一つの段階で、更にもっと加盟国を増やして次の段階があると、そういうようなことを今おっしゃったんでしょうか。
内閣総理大臣
(野田佳彦君)
 FTAAPへの道筋の一つにTPPという一つの今試みがあると、それは今九か国でございますけれども、APECの二十一のエコノミーに開かれておりますので、更にそれが増えていく可能性ももちろんあるし、現段階で興味を持っているという国も幾つかあるというふうに思いますし、明確にそこに入らないと決めている国はないというふうに思います。
広野ただし  ところで、いろんな心配がやっぱり、懸念とか心配あるわけですね。そういう中で、かなり前向きな人たちでも世界のブロック経済化に加担をするんじゃないかと、そういう心配の方々がおられます。実際、世界の中では、まずEUが二十七か国、大きな言わば地域連携で、まあ地域連合をやっています。そして、アメリカ、カナダ、そしてメキシコはNAFTAということで一つの自由貿易圏を持っている。そのほか、ここにありますように、ASEANですとかメルコスールだとかGCC、あるいは南アフリカの方にあると。
 こういう中で、TPPということになると一つのブロックを形成をするんじゃないか。これは、あの昭和大恐慌のときに、結局世界が貿易の壁をつくって、そしてイギリスは英国連邦ですし、アメリカは南北のブロックという形の中で、結局ブロック化がいろんな意味で貿易戦争を更に拍車を掛けたということがあるんで、そういうことの懸念を持っておられる人たちもかなり前向きな人たちでもおられますけれども、その点について、総理、どうでしょうか。
内閣総理大臣
(野田佳彦君)
 広野委員御指摘のとおり、戦前はブロック化が進んだということがあって、その反省の下に戦後にいわゆるガットができて、そのガットに入ることによって日本も貿易立国として経済的な繁栄を実現をするという過程がございました。その後、ガットの後に今WTOができて、その枠組みの中では、WTOとして早くいろんな合意ができればいいんですけれども、その補完をする形でマルチあるいはバイでのEPA、FTA交渉をそれぞれが今やっているという中で、その中で一つの選択肢として高いレベルの経済連携の中でTPPも位置付けられているということでございます。
 もちろん、このTPP、入る入らないはまだこれから結論でありますけれども、日・EUも、あるいは日中韓もそれぞれ進めていきたいと我が国は思っているところでございます。
広野ただし  そのブロック化の問題のほかにもう一つ、自由化を促進していくときに、二国間、だからFTAだとかEPA、それを一つ一つ着実にやっていく、乗り越えていくと、こういう方法もあるんではないかと。もう既に日本も十何か国とやっているわけですね。そういうステップとこのマルチのものとどういう関係になるでしょうか。
国務大臣
(古川元久君)
 お答えいたします。
 この二国間と多国間の協議、これはまさに同時並行的に進めていかなきゃいけないものだと思っています。あれかこれかではなくて、先ほども総理も申し上げましたように、日本としては、FTAAP、アジア太平洋の自由貿易圏を構築を目指していく、それに資するようなものについては、二国間、今、日韓もやっておりますし、これから日中韓も進めようといたしております。そういう二国間のものとか、またこのTPPのような多国間のもの、そうしたものを並行的に進めていきたいというふうに考えております。
広野ただし  それともう一つ、アジアの成長、新興国の成長を取り入れていくんだと、こういうことが大きなこの交渉参加の賛成派の人たちの考え方だと思っているんですが、じゃ、現状においてこの九か国、あるいは日本が入ったとしても、アジアの主要国である中国あるいはインド、韓国も入っていませんね、インドネシアも入っていない。こういうまさにアジアの成長する国々が入っていないということについてどうお思いですか、総理は。
国務大臣
(古川元久君)
 お答えいたします。
 現時点におきましては御指摘の国は入っておりませんが、このTPP協定はAPEC参加国メンバー全てに開かれたものでございます。交渉未参加国の立場についてお答えする立場にはございませんが、これは既にTPP協定に一定の関心を示している国もあるというふうに承知をいたしております。
 なお、先ほど申し上げましたが、日本としては、このFTAAPに向けて、アジア太平洋の国々に全体として貿易や投資の二十一世紀のルールを作っていこうと、その先頭に立っていこうという考え方でやっておりますので、そこは日中韓であるとか二国間でやるもの、そしてまた、こうしたTPPのような多国間のもの、それを両方進めていきながら最終的にFTAAPにつなげていく努力をしていくと、その中で今御指摘のような国々も含めて考えていきたいというふうに思っております。
副大臣
(山口壯君)
 先ほど中国の話も出ました。
 昨日、中国の程永華大使とも話したところ、TPPに日本が入るのかどうかについては物すごく関心を持っていて、それで、正直今の段階では中国は入れません。他方、アメリカについても、行く行くは中国については是非とも声を掛けたいというようなことを言っておるようです。
 それから、あとASEANプラス3ということでは日中韓、それからASEANプラス6ということではインドとオーストラリア、ニュージーランド、日本はインドともEPAを結びましたし、あとオーストラリアともこれからやっていきます。だから、そういうことを重層的に積み重ねながら、行く行くは大きなFTAAPに結べればいいと思っています。
 それから、あとASEANプラス3ということでは日中韓、それからASEANプラス6ということではインドとオーストラリア、ニュージーランド、日本はインドともEPAを結びましたし、あとオーストラリアともこれからやっていきます。だから、そういうことを重層的に積み重ねながら、行く行くは大きなFTAAPに結べればいいと思っています。
 アメリカについては、二国間のものはもう受け付けないんだということでTPPという格好にならざるを得ないというのが今の実情です。
広野ただし  これは、先ほどブロック化という問題、ブロック化を促進するんじゃないかということと、いや、オープンマインドで、例えば今交渉参加をしていくという中の次のステップのときに、日本も、じゃ、中国、インド、インドネシア、タイあるいは韓国ですね、そういうところにオープンな形で声を掛けていくんだと、そういうお気持ちでしょうか、総理。
内閣総理大臣
(野田佳彦君)
 まずは、入るか入らないかというその今前提がちょっとまだありますので、ただ、その上で、最終的にはTPPもFTAAPへの道筋でございますので、FTAAPというのは、APECの二十一のエコノミーが入っていくという、そういう道筋をたどっていくための一つのステップでございますので、当然幅広く様々な国が参加するようなことが期待をされているというふうに思います。
広野ただし  それともう一つ、これは非常に大きな問題なんですが、まず交渉参加をして、そしていろんな交渉をしていく、そういう中において、これはどうしても日本の国益として駄目だと、こういうことになった場合、そこから脱退をするとか、あるいは国会で批准がなされないと、こういう事態に立ち至ったときに、言わば日本の信用というものは大失墜するんではないかと思いますが、その点、総理はどういうふうに思いますか。
内閣総理大臣
(野田佳彦君)
 交渉参加するという前提に立つとするならば、それは国益を最大限に実現をするためにしっかりと交渉をするということであります。その際に、やっぱり守るべきものは守り抜くということをしっかりと、勝ち取るものは勝ち取っていくという姿勢でやっていくことということでありますけれども……(発言する者あり)ちょっと聞こえにくいんですけれども。その上で、そういう姿勢で臨んでいくということが基本原則だというふうに思っております。
広野ただし  それと、一番心配をしておられる農業関係、JAグループですね、そしてまた地方自治体あるいは地方の方々、これはまさに食と農林漁業、そういうところが衰退していくんじゃないか、そういう大きな懸念と心配を持っておられるわけですね。
 そして、そのことについて、十月二十五日に再生本部が基本方針と行動計画を決定しました。これは中身はそれなりのものだと私は思っておりますが、いかんせん、一つは、そこに資金が付いていないんですね、資金が付いていないんですよ。これは、何かもう一つ国民の皆さんが安心できない、農林水産業大丈夫なんだろうか、地方は大丈夫なんだろうかと、こういうことを思っておられるわけですが、その点について農林大臣に伺います。
国務大臣
(鹿野道彦君)
 大変御心配、また一面激励をいただきましてありがとうございます。
 私どもといたしましては、総理の所信表明におきましても、基本方針・行動計画、いわゆる食と農林水産の再生におけるこの計画なり行動をやっていく上においては政府全体の責任を持って着実に実行すると、こういうふうに書かれておるわけでありまして、当然、必要な予算をしっかりと確保していくというふうなことが大事なことだと思っております。
広野ただし  それで、私は、財務大臣、思いますのは、いろんな、例えば繊維交渉もございました。これは角栄さんの時代ですけれども、角栄さんはあのときに数千億円、予算規模が四兆円ぐらいですよ、全体、数千億円の救済措置なり構造改善事業を展開をされました。そして、今度、割と近くなりましたが、ウルグアイ・ラウンドですね、ウルグアイ・ラウンドのときも、これによって日本の農業はもうがたがたになるということで六兆円というお金を投入をいたしました。しかし、それは農業土木が多くて必ずしも農業を強くするということにならなかったわけですが、いずれにしましても、こういう日本の岐路に立つ、日本がどうなるんだと、あるいは大事な大事な国の根本である農林水産、そういうものは日本の伝統文化にも非常にかかわるわけですね。それが駄目になっていくかもしれない。
 そういうときに、なぜ、対抗措置、救済措置、支援措置として私はもう十兆円以上のお金を別途投入をすると、こういうことをやっぱり今言うべきじゃないかと、こう思うんですが、財務大臣はいかがですか。
国務大臣
(安住淳君)
 私も、本当に日本の過疎地の代表のようなところで生まれ育っておりますので、本当にそういう方々の御心配、御懸念というのはもう十分先生の方からも伝わってまいることは事実でございます。ガット・ウルグアイ・ラウンドにおいても六兆百億円と。しかし、そのときの検証というのは実は余りなされていないんですが、農業土木に三兆円強使って圃場整備で田んぼは整備されましたけれども、農業の体質が強化されたかといえばいろいろな議論の分かれるところでございます。
 今後、TPPに参加するしないにかかわらず、日本の農業の体質強化のためには、やっぱり特段の、やっぱり必要であれば予算の措置で充実できるものは私は是非やっていきたいというふうに思っております。
広野ただし  まさに財務大臣もそういう過疎地のことをよく御存じだと、こういうことでありますし、総理も、私聞きましたけれども、小さいときに、家族の人たち、部落の人たちが田んぼに行かれてやっておられるときに、総理も小さいときに連れていかれて、それをお昼どきになったらみんなと一緒におにぎり食べたりいろんなことをして過ごされた、近所の人たちに面倒を見てもらったと、だから私は絶対農業はおろそかにしないと。こういうお話を私は漏れ聞いてきておるんですが。
 総理、やっぱり無手勝じゃ私は絶対駄目だと思うんですね。この十兆円をオーバーするようなそういう対抗措置といいますか、救済措置、支援措置を閣議決定すべきじゃないかと思いますけれども、どうでしょうか。
内閣総理大臣
(野田佳彦君)
 御指摘のような私の幼児体験もございます。父方も母方も農家でございましたので、その意義というか、農業の再生は本当に必ず果たしていかなければいけないと思います。
 これはTPPとの関係ではなくて、いずれにしても所得が減少したりとか後継者難であるとか高齢化が進んでいるとか含めて農業の再生待ったなしだと思いますので、そのためのあの計画がこの間の基本方針と行動計画であります。政府を挙げて着実に実施をしていきたいというふうに思いますが、おっしゃったように例えば十兆とか、いきなりそのお金が、出す枠だけ決めてしまうというのは、私は、財務大臣もお話がありましたが、ウルグアイ・ラウンドの対策で六兆百億だったでしょうか、あの使い方はやっぱり厳しく検証しなければなりません。ただ、やらなければならないことにはきちっと必要な予算を付けていかなければいけないというふうに思います。
広野ただし  ここにありますように、この行動計画というのは、戦略一、戦略二、戦略三、あるいは戦略四で林業の再生あるいは水産業再生等々、あるいは東日本大震災にかかわるような点、こういう行動計画になっているんですね。
 だけど、画竜点睛なのは資金が入っていないということなんですよ。これをやっぱり何としても閣議決定していかないと、交渉参加をしていきますと、もうがたがたになっちゃうんですね、農林水産業、地方はですね。
 一番それを端的に表しますのは自給率。自給率はどうなりますか、農水大臣。
国務大臣
(鹿野道彦君)
 自給率を五〇%にというふうな目標を掲げているわけでございまして、これは下ろすわけにはいきません。ゆえに、TPP協定にどうするかというようなことを、それにかかわらず、この自給率向上に向けて取り組んでいかなきゃならない、こういうふうに考えておるところでございます。
広野ただし  これも試算なんですが、今四〇%の自給率が一〇%台に落ちるというような試算があるわけですね。そういう自給率が落ちますと、世界のいざ食料危機ということになった場合にどういうことになるんでしょうか。
 これは防衛大臣、食料安保の観点から、また農林水産業にお詳しいし、その点どういう、安全保障上どんな問題が起こるか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
国務大臣
(一川保夫君)
 お答えをさせていただきます。
 私は今現在防衛大臣ですから、もう当然国防政策とか防衛政策、それから食料政策というのは国家の基本的な政策であるというふうに認識いたしております。そういう面では、国民の皆さん方のしっかりとしたそういうコンセンサスの中でこういう政策が遂行されるべきだというふうに基本的に考えております。
 防衛という観点から見ましても、私はやはり我が国の食料の自給率なり自給力といったものをしっかりと持っている必要があるというふうに思っております。それは、もうかねてから食料安保というような言葉まで使われているわけですから、そういう面では現状よりも自給率、自給力を向上させていくという政策は絶対に必要だというふうに思っておりますし、また、今こういうTPPとかこういうことが話題になっておるこの時期に、私はこの大臣になる前というのは民主党の中でもこういうプロジェクトチームのお世話をしていたこともありますけれども、やはりこういうときに、国民の皆さん方が農業政策なり食料政策に関心を持っているこの機会に、農業の果たす役割とか重要性といったようなものをしっかりと国民に浸透させるということも非常に大事な機会ではないかなというふうに私は思います。そういう中でしっかりと国民的なコンセンサスをつくり上げていくという努力は我々もしっかりとやらなければならないと、そのように思っております。
広野ただし  私はやっぱり、食料安全保障とかエネルギー安全保障と、これはもう国家の根本にかかわるようなことですから、それをしっかりとこのTPPに入ったときにおいても守れるようなことをやっていかなきゃいけない。
 先ほど総理は丼勘定で十兆円と、こう言われますけど、いろんな形からいいますと、例えば中山間地の問題も含めて、所得補償に三兆円ぐらい、五年間の間にですとか、あるいは六次産業化、こういうところに二兆円を入れるとか、あるいは構造改善に二兆円、そして林業に一兆円、水産業に一兆円、その他というようなことで、それはいろんな大きな割り振りというのはできるんですよ。これはもう農林水産大臣、得意な分野でいらっしゃいますから、そういうことを是非、これはもう少し時間あるかもしれません。だけれども、それをきちっとやらない限り日本の国家の基本がおかしくなってくるんじゃないかと、こう思っております。
 それと、続きましてもう一つ、日本の根本の米ですね、米を例外扱いということにはできないんでしょうか。この点について、農水大臣、伺いたいと思います。
国務大臣
(鹿野道彦君)
 今先生からの御指摘はTPPの交渉ということにおいてのお話だと思いますけれども、御承知のとおりにこのTPP協定は十年間の間に関税撤廃と、こういうふうなことだということも承知しておるわけでありますので、除外品目が果たして獲得できるかどうかというふうなことは大変困難なことでもあるんではないかなと、こんなふうに思っておるところもあるわけでございます。
広野ただし  これは、原則関税撤廃、十年間の間にというようなことになっていますが、それは例えば関税を全くゼロにするんじゃなくて、三〇〇%とかいろんな形のやり方が私はあるんじゃないかと思うんですよ。そのときに、またそれにふさわしい所得補償方式とか構造改善をやっていかなきゃいけない、こういうことがありますから、これをしっかりとやっぱり脳裏に入れておいていただきたいなと、こう思います。
 防衛大臣、お忙しいようですから、ここで結構でございます。
 それともう一つ、この大きな安全ネットにかかわる問題なんですが、これは医師会ですとか歯科医師会ですとか薬剤師会、看護協会等が猛烈に今このTPPに懸念を表明をしております。そのことで、これも私は、医療の分野、介護の分野、こういうところにおいて国民皆保険は絶対堅持するということですとか、あるいは営利の企業参入というものは禁止にしておく、こういうことを含めた政策大綱ですね、こういう医療、介護の分野に関する政策大綱を閣議決定すべきじゃないかと。これは本当に大事なことだと思いますが、総理、いかがでしょうか。
内閣総理大臣
(野田佳彦君)
 現時点において、営利企業の参入であるとかあるいは公的医療保険制度の在り方そのものについて、TPPの交渉において議論の対象とはなっていません。また、これまで御懸念をいただいている医師会であるとか歯科医師会であるとか等々の団体には政府全体として順次説明を今行ってきているところでございます。
 その上で、基本的には、国民皆保険という、まさにこれはほかの国よりもはるかに日本のレベルの高い誇るべきものについては、これ当然のことながら守り抜いていくということが基本中の基本で、壊すようなことはあってはならないということであります。
広野ただし  やはり、マイケル・ムーアの映画じゃありませんけれども、本当にまあ金の切れ目が縁の切れ目じゃないけど、金の切れ目が命の切れ目というような事態が起こっているわけですね。ですから、そういうことのない安全ネットをきちっと整備をしておくということでないと、その関係の方々、そしてまた国民の健康と命が守れない、また格差がいっぱい出てくると、こういうことになるんで、これは政府側にいろんな話聞きますと、いや、国会で答弁していますからと、こう言いますけれども、やっぱりしっかりとした大綱を持って、政策大綱でですね、閣議決定をすると。これは是非、TPPと関係なくてもやっていかなきゃいけないんじゃないかと思いますが、再度総理に伺います。
内閣総理大臣
(野田佳彦君)
 国民皆保険について言えば、これ、その他の国もそれぞれみんな違う制度になっています。これを一つのルールでやろうなんということは現実的に考えられないと思いますので、私はこれは議論の対象にならないというふうに確信をしています。もしなったとしても、守るべきものは守ると、それはもう最大限国益を守るというのが交渉だというふうに考えている次第です。
 その上で、政策大綱というお話がございましたが、これ例えば、仮にですよ、個別交渉に入ったとして、どういう問題が出てくるかというのはまだ何とも言えないところがあります。ただ、心構えとしては、それは食の安全の問題でも医療の分野でも守るべきものは守るというそのスタンスの中で、それは議論の中で、対応困難なもの、対応可能なものというのをきちっと国益を踏まえて議論をしていくということであって、TPPだけではなくて、余り大綱みたいな形で枠を決めて交渉するというやり方が本当にいいのかどうかというのは、これちょっとよく、議論があるんではないかと思います。
広野ただし  国論を二分、三分するくらいに皆さんが懸念をされたり心配をされたり、いろんな不信感がまた出てきているわけですね。
 やっぱり、こういう大きな国の岐路に立つときに、日本の進路に大きくかかわるわけですけれども、そういうときに、そういういろんな不安を払拭をしていくということがないと、どんなに外交交渉で頑張ろうとしても国内ががたがたですと、これなかなかどうにもならないわけですね、これはまあ釈迦に説法ですけれども。ですから、やっぱり安全ネットというものをしっかりと整備する、これは先ほどの農林水産に対する行動計画というものとこの医療、介護の分野、この二つは本当に皆さん心配しているわけです。そして、がたがたになるかもしれないんですね。ですから、これはもうしっかりと閣議決定等をして守るということを是非考えていただきたいと、こう思います。もう一度、総理。
〔委員長退席、理事川上義博君着席〕
内閣総理大臣
(野田佳彦君)
 そのいわゆる交渉論の体制整備の中で、交渉するときのその交渉の仕方と、それから国内できちっと情報を提供して説明をし、国民的な議論を起こしながら世論の御支持をいただくというのが、これTPPだけではなくてあらゆる交渉の基本だろうと思いますので、その認識は共有させていただきたいと思います。
 その上で、例えばこれ、国民皆保険制度、閣議決定をしてということですが、既にこれ何回か閣議決定しているんですね、国民皆保険制度の堅持については。それは変えてはいませんので、その方針に臨んでいきたいというふうに思います。
広野ただし  それと、もう一つ心配を皆さんしておられるのは、東日本大震災という千年に一度のような大災害があって、昨日、衆議院の方に、十二・一兆円の三次補正は通過をいたしましたけれども、どうしてもこの復旧復興がいまだしという感じなわけですね。そういうことのときにTPP交渉参加というのは、この時期はどうなんだということをやっぱり懸念しておられる方々はいっぱいおられるわけですね。この点について総理はどうでしょうか。
内閣総理大臣
(野田佳彦君)
 ちょうど今日が東日本大震災の発災から八か月であります。ということもありますけれども、この震災からの復興を、そして原発事故の収束を、これは我が政権の最大かつ最優先の課題としています。そのために今回、昨日、第三次補正予算、衆議院通過させていただきましたけれども、この一日も早い成立を改めてお願いをしたいと思います。
 その上で、加えて、おととい、民主党の経済連携PTの中で御提言をいただきました。その御提言の冒頭に書いてあることもこの震災の復興にしっかり対応するようにということでございますので、それを踏まえてしっかり対応していきたいというふうに思います。
広野ただし  それともう一つは福島ですよね。この福島原発のこと、これも総理は、福島原発が収まらないと、福島が再生しないことには日本の将来はないというくらいにもう言い切っておられるわけですね。
 ところが、原発の冷温停止ですとかいろんなことがまだ全然めどが立たないと。こういうことについてめどが立つまでもう少し待つ、見合わせると、TPP交渉参加についてですね、こういう考え方の方々もおられるんですね。こういうことについては総理はどうですか。
内閣総理大臣
(野田佳彦君)
 TPPを別においても、例えば冷温停止、これはスケジュールといいますか工程表、ロードマップによってステップツーという形で位置付けられていますけれども、これ、年内に実現をするということを目標に今全力で取り組んでいるということでありますし、除染対策についても、予備費と今回の補正と来年度の予算要求分合わせて一兆円以上超える今予算措置をとろうとしています。それを踏まえて、国が責任を持って除染を進める等々、福島の再生に向けては全力で尽くしていきたいというふうに思いますけれども、その外交交渉の問題とこの国内の進行と、これはかかわりのあるところはあるかもしれませんけれども、基本的には最優先で復興は取り組んでいくし、原発の事故の収束も最優先で取り組んでいくという姿勢に変わりはありません。
広野ただし  やはり東日本大震災、これはもう千年に一度というような大災害なわけですね。そこで、しかも、安住財務大臣もあれですが、大変な被災を受けられたわけですが、東北は特に農林水産業のウエートが大きい、そこにTPPということになりますと二重苦のような形になるわけですね。
 ですから、その場合においても、先ほど農水大臣、行動計画、これにまた例えば資金的なものもくっつけたとしても、東日本についてはもう一つ一段のものがないと、今みんな大変な状態でへたばるような、もう何にもない、財産も何もなくなったと、残っているのは命だけだと、こういう人たちがいっぱいおられるわけですね。そういう中で今乗っかっていくということについての積極的な理由をちょっと御説明いただきたいと思います。
 総理、要するに、そういう被災をしておられる、大変なんだけれどもこれをやっていくことによって、いや、未来が見えるんだというような何か積極的なことがありますか。
内閣総理大臣
(野田佳彦君)
 高いレベルの経済連携と、特に被災地は農林水産業が非常に盛んだったところですからその復興をしなければいけないということと、これは両立をしなければいけないと思います。これはTPPに限らず、高いレベルの経済連携と農業の再生というのは、これは両立が不可能と言う方がいらっしゃいますけれども、しなければならないというのが基本的な認識であります。
広野ただし  まさに、そういう心意気は分かるんですが、ですからこそ、せっかく行動計画を作ったわけですよね。それにしっかりとした資金的な裏付けを総理として、また内閣全体としてやっていきませんと、私はこれもう無手勝ではこういう外交交渉、絶対できないと思いますね、やっぱり何かしかるべきものをやらないと、そして安全ネットを張っておくということはもう最低限必要だと思います。
 そういうことと、もう一つ懸念に思っておられるのは、今欧州が、ヨーロッパが揺れ動いておりますね。世界経済がどうなるのか。まさに、場合によってはみんなが財政立て直しのために緊縮政策に入っていく、こういうことになると、ずっと縮んでいくわけですね。もう非常に大変な世界経済になるおそれがある。これがもう少し先が見通せるというような状況になるまでこのTPPをもう少し見合わせないとまた何重苦にもなると、こういうおそれがあるわけですが、その点、総理、どうですか。
国務大臣
(安住淳君)
 被災地のことも少し申し上げますと、例えば先生、私は参加、不参加のことを申し上げるわけではなくて、水産業は基本的には、もう自民党政権下から余りこれは保護政策を受けてきたわけではなくて、全く自由競争にさらされていて、世界の中で本当に頑張って、三陸の水産業は、中国やもう韓国に既に売っておりますし、例えば船を造るにも、漁船は補助金を、例えば農業の場合であればハウスを造るのに補助金が出ますけれども、漁業は全く出ない中で頑張ってきていますので、これは余り、貿易のことに関して懸念があるかといえば、そうではないと思います。
 それから、農業地帯ではあります。しかし一方で、セントラル自動車等を始め自動車の集積基地でもあるので、例えば私の地元なんかも、これは率直に事実を申し上げますと、お父さんは確かにこれはもう二町歩、三町歩の田んぼを持っているけれども、息子さんは例えば自動車関連に勤めているとか、それが日本の実態なので、そういう中で不安をできるだけ払拭するために、私も財務大臣としてできるだけのことは本当にさせていただきたいというふうには気持ちとしてもたくさん持っております。特に、農家の皆さんは一人一人が自由に売り買いをできて御商売をできるというのはなかなか大変なので、そういう中でやっぱり農協の皆さんの不安なんかもあるでしょうから、それは鹿野大臣もおっしゃったように、いろんな宿題をこれから解決しながら足腰の強い農業というものをつくっていきたいと。
 欧州の問題は、縮んでいく経済のおそれというのはあるからこそ、逆にG20やG7でもやはり、法人税の例えばディスカウント競争なんかをそろそろやめた方がいいんじゃないかとか、金融取引税の問題が今になってEUで出てきているのも、やっぱり行き過ぎをどうやって、いずれにしても、何ていいますか、規制をするか、またバランスのいい貿易をどうつくるかということを今世界で本当に苦悩していますので、そういう中で本当に規制がいいのか自由化がいいのかというのは、もう大変な激論をしている真っ最中だということだけ申し上げておきたいと思います。
広野ただし  やっぱりどうしても、行動計画をせっかく作ったわけですから、そういうことに合わせてもう一つ具体的な、皆さんが、ああそうか、これによって農林水産業が元気になるんだというようなことをやっぱりしっかりと示してもらいたいなと思っておりますし、もう一つ、ちょっと戻るかもしれませんが、食の安全の問題ですね。これは農薬のことですとかあるいは遺伝子組換えですとか食品表示の問題ですとか、そういうことがやっぱりTPPに入ることによっていろんな、おろそかになるんじゃないかと。これは国民の健康と命にかかわることですから、その点について、農水大臣、どうでしょうか。
国務大臣
(鹿野道彦君)
 食品の安全基準というのは、我が国の安全基準というふうなものをしっかりと守っていかなきゃならないと思います。
広野ただし  いずれにしましても、総理、熟慮に熟慮ということですし、このTPPの衆参における集中審議、そういうものも踏まえて決断されるんだとは思いますけれども、まさに日本の一つの大きな岐路だし、日本の地方におけるありよう、日本全体のありようというものにもかかわる大事なことだと思います。そのときに、先ほどからも何回も申し上げて申し訳ないんですけれども、安全ネットというものをちゃんと準備するということと、そういう弱い分野といいますか、非常に不安になっていることについてやっぱり支援措置をする、助成措置をする、そして、そういう不安の人たちが少しでも不安が解消されるということをしっかりとやっていただきたいと思います。
 それでは、質問を終わります。
理事
(川上義博君)
 以上で広野ただし君の質疑は終了いたしました。(拍手)