会議種別:
参議院財政金融委員会
会議日時:
2012年6月19日(火曜日)午前10時05分開会

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発言者 発言内容
委員長  財政及び金融等に関する調査を議題とし、AIJ投資顧問による年金資産運用問題に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
広野ただし  民主党・新緑風会の広野ただしです。
 松下金融大臣、大臣御就任おめでとうございます。そしてまた、午前中は大臣所信に対する質疑ということで、そしてまた、午後はちょっと気は重いでしょうけれども、また心痛むと思いますが、AIJの集中審議ということでございます。
 このAIJ関係、厚生年金基金の方々も大変被害に遭われて、五十万人以上の方々が加入しておられるということですから、非常に大きな社会問題だと、こういうふうに思っております。そしてまた、本日午前、今朝ですか、AIJ投資顧問の浅川社長、そしてまたアイティーエム証券の西村社長ほか二名、合計四名が逮捕されると、こういう事態に立ち至っているわけでございます。
 そういう中で、今日午前中もお話がいろいろと出ましたけれども、金融庁また証券監視委員会の監視あるいは取組が遅れたのではないのかと、こういう点がやはり非常にあるのではないかと思っております。情報もいろいろと、今日も若林委員だったですか、からもありましたけれども、随分早くから情報が入っていたにもかかわらず、そして当委員会においても昨年の秋に金子委員が指摘をいたしました。そういうこともありながら、行政処分等、強制調査等も随分遅れたんじゃないのかと、こういう思いがするわけでございます。そして、三月の二十三日にはAIJの登録取消しが行われ、また同日にアイティーエム証券の業務停止命令六か月間、こういうものが出されました。
 そういうことについて、遅過ぎたんじゃないのかという点についてどのように考えられているのか、お答えいただきます。
副大臣
(中塚一宏君)
 先生の御指摘でありますが、検査監督当局といたしまして、早期に不正の端緒であるとか心証をつかむことができなかったという意味において誠に遺憾であると、そういうふうに思っております。
 一方、証券取引等監視委員会の情報受付窓口に対しましては、AIJ投資顧問に関する情報が平成十七年度以降、今回の検査開始までの間に四件寄せられておりまして、そのうち三件は匿名、実名は一件であったというふうに承知をいたしております。情報受付窓口には毎年六千から七千件の情報が寄せられているということであって、そのうちの金融商品取引業者に対する情報は一千件程度ということになっておるわけなんでありますけれども、そういった数々の情報の中から重要性等を判断をし検査を行っているということであります。
 今回のいろいろな御指摘、御批判を真摯に受け止めまして、限られた人的資源を的確にそして有効に活用しながら、検査監督、オン・オフ双方において、より一層情報収集能力、分析能力、それからリスク感応度というものを高め、再発防止に努めてまいりたいと、このように思っております。
広野ただし  特に、同僚議員の金子委員からの指摘があって以来、前大臣でありましたけれども、金融庁と監視委員会との間でちょっとキャッチボールのようなことが行われ、監視委員会の所管ですから、そこからのいろんな情報を得てというようなことをいろいろとやっておられました。
 ところで、その監視委員会、これはやはり個別案件のことについてはいつもおっしゃらないと、こういう話なんですが、今までの監督責任といいますか監視責任といいますか、それについてどう考えられるのか、お答えいただきます。
政府参考人
(岳野万里夫君)
 今回のAIJ投資顧問及びアイティーエム証券に対する検査におきまして明らかになった問題は、大変重大な問題であるというふうに認識しております。これまでこうしたことが結果として長年にわたり発見できなかったことにつきましては、検査部局でございます証券取引等監視委員会としても誠に遺憾でございまして、改めるべきところは改めてまいりたいというふうに考えております。
 時間を短く端的にということだと思いますので、私どもとしては、今回の反省を踏まえまして、取りあえず二点のことを前に向けて進みたいと思っております。
 一つは、やはり投資一任業者につきまして接触を増やすという必要がございますので、金融庁による一斉調査の結果等も踏まえまして集中的な検査を行うこととしたいと思っております。
 また、情報に関しまして様々な御批判、情報の取扱い、活用につきまして様々な御指摘をいただいております。確かに、年金関係のホールセールの情報と、一般個人投資家、消費者から来る多数の苦情と情報の性格、質が違っておりますので、そういったことを踏まえまして、今回、年金運用に関する情報の収集・分析体制を強化することといたしまして、専門の窓口として年金運用ホットラインを開設し、専門家による積極的な収集と質の高い分析を行いまして、投資一任業者の検査に反映させていきたいと思っております。
 この二点を皮切りに、今後、更に監視委員会としても検査の実施の優先度の判断を適切に行っていくために、金融庁とも連携しながら、情報の収集・分析能力並びにリスク感度を高めていきたいというふうに思っております。
広野ただし  おっしゃるとおり、この厚生年金基金関係、特に今回の場合でも五十万人以上の方々が被害に遭われているようなことになります。非常に社会的影響が大きいものでありますから、特にその点については大きく関与してもらって監督責任を果たしていただきたいと、こう思います。
 ところで、そもそもこの投資顧問業あるいは投資一任業ですか、このことについて、ヨーロッパは認可制になっておりますが、アメリカは登録制、自由であります。日本もこの登録制というものをやって自由化をちょっと行き過ぎたんじゃないのかというふうに思うんですが、その点はどうでしょうか。
副大臣
(中塚一宏君)
 平成十八年に金融商品取引法を整備した改正によりまして、参入規制は認可制から登録制へと変更することとなりました。それまでは各業法による縦割り規制だったわけなんでありますけれども、すき間のない横断的なものにするということ、それから金融イノベーションを促進をするという、そういう観点からの改正でございます。
 ただ、投資一任業に対する規制につきましては、現行の登録要件と、それと過去実施をしておりました認可要件の間に大きな差異はございません。参入後の規制監督の枠組みについても、現行の金商法と旧投資顧問業法との間に大きな差異はないということについては是非御理解をいただきたい、そう思います。
 しかし、いずれにしましても、再発防止について、この事案で明らかになった問題に対しまして、金融実務を踏まえ、実効性のある方策を検討をしてまいりたいと考えております。
広野ただし  それと、厚生年金基金の方々からお聞きしますと、信託銀行が絡んでいたから、まあ信託銀行が入ればというような、安心してというようなこともあったようであります。
 信託銀行は受託者責任というような点がやっぱりあるんじゃないのかと、こう思いますが、この点いかがでしょうか。
国務大臣
(松下忠洋君)
 本件においては信託銀行は投資判断を行う立場になく、またAIJにより基準価額等が改ざんされたために信託銀行等によるチェック機能が妨げられたということが報告されています。実効性ある再発防止策を関係省庁等と連携しつつ早急に検討していかにゃいけないというふうに考えております。
広野ただし  やはり信託銀行は大手ですし、いろんな情報網を大量に有していると思うんですね。そういう中で、契約上はいろんな免責条項等はあると思いますけれども、忠実義務あるいは善管義務といいますか、そういう観点からも信託銀行の管理責任といいますか、そういう点も大いに考えてもらいたいなと、こう思うわけであります。
 それともう一つ、年金コンサルタントですが、これは投資顧問業ではないんですね。そして、しかし年金に関して、運用に関してコンサルタント的なことをやると、こういうことになっているんですが、登録の必要もないということになっておりますが、この点どうでしょうか。
副大臣
(中塚一宏君)
 まず、その投資顧問業についてということなんでありますが、金融商品取引法上の投資助言・代理業のうち、顧客との間で投資顧問契約を締結し、有価証券の価値等や金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に関し助言を行う業務を、これを投資顧問業としておるところであります。
 一方、年金コンサルタントの業務というのは、これは明確な定義が存在をしておるわけではありません。ありませんが、一般的に年金基金の制度設計のコンサルティングでありますとか、あるいは年金財政のコンサルティングでありますとか、資産運用コンサルティングなどが総合的に行われていると、そういうふうに承知をいたしております。
 ですので、年金コンサルタントが顧客との契約に基づいて資産運用コンサルティングの一環として有価証券の価値等やあるいは金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に関連をして顧客に助言を行っている場合には、これはその年金コンサルタントの行為は投資助言・代理業に該当をいたしますので、金融商品取引業の登録が必要になると、こういう関係でございます。
広野ただし  国会でも、今回の場合、東京年金経済研究所ですか、の方をお呼びして、ここのところが投資助言だとか代理業的なことをやっているわけで、ここのところが全く無登録でやっていると、こういうところもよく考えていただきたいと思います。
 ところで、厚生年金基金についてお伺いをしたいと思います。
 この厚生年金基金、今回にかかわるところは随分と天下りが出ているということであります。全体的には三百数十の基金のところに七百人ぐらいの天下りが行っている。運用に関して特別の才能等を持っておられればとは思いますが、どうもそういうことでもなかったということなんですが、厚生労働省、この天下りについて、特に厚生労働省からの者が大宗を占めております。この点についてどう考えておられるか、お答えいただきたいと思います。
副大臣
(辻泰弘君)
 この問題につきましては、政府・与党ということでございまして、広野先生と同じ問題意識を持って取り組んできたところでございます。
 まず、三月二十八日に再就職状況調査というのを発表させていただいておりますけれども、詳しくは時間の関係上申し上げませんけれども、厚生年金基金に、役職員に国家公務員再就職者のいる基金数、役員については五百七十九基金中三百六十六基金というようなことでございました。また、役職員のうち国家公務員再就職者は七百二十一人というようなことがございました。
 こういった状況は、かねがね私どもとしても取り組まなければならないということで、具体的には平成二十二年九月三日付けの厚生労働大臣書簡によりまして、厚生年金基金の役職員の選任につきましては公募の実施ということを要請してきたところでございます。しかし、残念ながら、今年三月、先ほどの調査結果によりましても、公募の実施状況は低いということが判明したところでございます。そのため、今年三月三十日付けで改めて公募実施の徹底に関する大臣書簡を発出するとともに、公募の手続について具体的に定めた通達を発出させていただいたところでございます。
 今後は、各基金ごとに公募要請を行う、そしてその報告を求める、こういったことを通じて公募の実施を指導していくということで対応していきたいと考えております。
広野ただし  特に厚生年金基金、中小企業が大宗であります。そういうところが一生懸命灯をともすような形で、また運用を一生懸命やっている、そういう中において、まあ何といいますか、中小企業に巣くうといいますかね、そういうような考え方であっては、それこそ野田総理の言っているシロアリといいますか、そんなことになってはとんでもないことなんで、これは厳に慎んでやっていただきたいなと、こう思うわけであります。
 そしてまた、厚生年金基金、累積損失が非常に多くなっている。これは今日午前中若林委員も指摘されました。数千億円になっているんではないかというような指摘もあるわけでありますが、その中で、何しろ運用予定利率というのがもう非常に高く設定されているんですね、五%台。こういうことで、現状においてほとんど不可能なことをやっているということで、この予定利率を引き下げるべきではないのかなと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
副大臣
(辻泰弘君)
 御指摘をいただきました掛金額の計算に当たって用いられる予定利率は、平成九年までは一律に五・五%とされていたわけでありますけれども、現在は厚生年金基金が年金給付等積立金の運用収益の予測に基づいて定めることとされておるところでございまして、各基金ごとに定めるものとなっております。
 厚生労働省といたしましては、平成九年の予定利率の自由化後も、基金財政の健全化の観点から、毎年度の決算等に基づき必要に応じ予定利率の見直しを指導してきたところでございます。しかしながら、予定利率の引下げは掛金の引上げにつながるということでございまして、現在も多くの基金が予定利率を五・五%と見込んでいる状況がございます。
 このようなことから、現下の厳しい金融経済情勢を踏まえまして、厚生労働省といたしまして、掛金を段階的に引き上げることをより実施しやすくする、掛金の引上げの開始を猶予するなどの負担の緩和にも一定の配慮をし、引き下げやすくしてきたところでございます。
 今後とも、現在行われております有識者会議における議論なども踏まえまして、そのような措置の延長等も含めて検討をしていきたいと、このように考えております。
広野ただし  厚生年金基金、中小企業が廃業をしたり倒産をするということになりますと、またそれの連帯保証もするというようなことになっていて、これはもう本当に苦しいところが更にまた苦しくなるというようなことが起こっております。ですから、今、厚生年金基金は数百万人の方々が入っておられると思いますが、これを将来どうするのかという点がやはり非常に大事な行政の課題ではないのかと思いますが。
 ところで、今日午前中もありましたが、それを、こういう予定利率のところで累積損失も非常に多いと、こういう中で廃止の方向に持っていくのか、そして解散等の要件なんかを緩和してやっていくのか、そういうところについて厚生労働省のお考えをお聞かせください。
副大臣
(辻泰弘君)
 御指摘の点でございますけれども、厚生年金基金制度につきましては、午前中も申し上げたところでありますけれども、今年四月から有識者会議をもちまして検討させていただいているところでございます。その内容は、資産運用と財政運用の両面からの検討ということでございます。
 その中では、先生御指摘いただきました制度の今後の在り方についても御意見をいただいているところでございますけれども、現時点で一定の方向性が出ているというものではございません。片や、午前中も申し上げましたけれども、与党サイドからは将来的な廃止というふうな御意見もいただき、また、各会派、各党の先生方からもいろいろな御意見をちょうだいしているところでございますが、有識者会議におきましては、今月末を目途に検討結果をまとめるということになっておりますので、その結果、また与野党それぞれの皆様方からいただいております提言を踏まえまして、厚生労働省として対応方針を策定し、対応していきたいと、このように考えております。
広野ただし  当面は、比較的運用状況のいいところとの、また近くの業種的なところも考えて、基盤強化のために合併をしていくとか、あるいは連合会との共同運用というんですか、というような形で当面はということはあろうと思います。しかし、将来的に、本当にこういう運用益で稼ぎ出せるのかということを考えますと、私ども与党の方で将来的には廃止の方向へ持っていくということを打ち出しているわけで、よくまたここを考えていただいてやっていただきたいと思います。
 そして、そのときの、代行運用というんですか、これをやっているわけですが、これの返済の面、そういうことについての、代行部分の返還についての軽減措置、これも今日午前中ございました。十年、最長十五年というような延長等もやろうということであります。そしてまた、損失処理期間の延長についても考えようということでありますが、そしてまた、解散時の連帯保証の軽減ということについてもいろんな要望が各厚生年金基金関係から来ておりますが、その点、厚生労働省はどういうふうに考えられるでしょうか。
副大臣
(辻泰弘君)
 AIJの方の関連でまず申し上げさせていただきますと、AIJ投資顧問に運用委託を行っておりました厚生年金基金に対する当面の対応といたしましては、現在、平成二十三年度決算に関するデータを各基金それぞれから徴集をいたしまして、その財政影響等を分析をいたしているところでございます。各基金が決算を確定する今年の秋ごろまでには一定の対応方針を示したい、このように考えております。その際には、掛金の急激な上昇を招かないようにという点も十分配慮して対処していきたい、このように考えているところでございます。
 そして、御指摘もございました基金の解散に際しての代行部分の返還額の軽減、あるいは分割納付時の連帯債務の在り方、こういった論点につきましても、現在、先ほど申しております有識者会議で議論をいただいているところでございますけれども、その結論等も踏まえまして対応方針を策定して対応していきたい、このように考えております。
広野ただし  それでは、今日、日銀総裁も来ていただいております。欧州の信用不安問題でございますが、ギリシャの再選挙もあって、ユーロ離脱の懸念は今はある程度払拭されたのかなということかと思っております。そしてまた、今G20で、メキシコのロスカボスですか、でG20を開催されていると。
 こういう中で、やはり世界は狭くなって、世界全体が相互依存関係を非常に深めている中で、欧州に対しても国際協調という観点は非常に大切なことで、対岸の火事だからほっておくというわけにはやっぱりいかないので、それがいつか新興国に及び、また日本の貿易等にも大きな影響を、そして経済に大きな影響を及ぼすということだと思います。
 そして、もう今まで、IMFで日本は六百億ドルですか、基盤強化に、これは財務省でしょうか、にされ、またヨーロッパ中央銀行、ECBに資金供給、ここのところ、これは第一回、第二回とオペをやっておりますけれども、ここのところで日銀はどういうような協力をしておられるのか、伺わせていただきます。
参考人
(白川方明君)
 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、国際的な経済の依存関係が非常に強くなっている中で、欧州の情勢というのは日本の経済に対しても非常に大きな影響を与えます。為替を通ずる面、それから貿易を通ずる面、それから金融システムを通ずる面、様々なルートで日本経済に影響を与え得るものでございます。
 欧州の中央銀行も含めて、中央銀行間の協力の体制ということでございますけれども、まず行っていますことは、日常的なこれは意見交換、情報交換を行っております。これは、私のレベルでも、それからスタッフのレベルでも緊密に連絡を取り合っております。
 その上で、資金の供給という点での協力も行っております。一つは、これは、ドルの資金供給について協調体制を組んで現に実行をしております。日本銀行を含め主要国の中央銀行は、アメリカの中央銀行であるFRBとドルのスワップ協定を結びまして、ドルを調達し、その上でそれぞれの国内の市場におきまして金融機関に対して金額無制限でドルを供給できる体制を組んでおります。
 それから、それぞれの通貨、例えば日本でいきますと円、それからドル以外の通貨、例えばユーロとかポンドとかカナダ・ドル、スイス・フラン、こういった通貨でも資金供給ができる体制を昨年の十一月末に、これはお互いに議論をしましてつくりまして、この枠組みをいつでも発動できるという体制になっております。
 リーマン・ショック以降の景気を見てもそうでございますけれども、金融システムの安定性が崩れますと、世界経済に対して非常に大きな影響を与えますし、日本経済にも影響を与えます。したがいまして、この流動性の供給という面で今密接な協力体制を組んで臨んでおります。
広野ただし  それと、これに伴って、アジア新興国にも波及をする、そういう懸念もあるんではないのかという点もありますので、アジア諸国に対してはどういう考え方でしょうか。
参考人
(白川方明君)
 アジアの新興国との関係でいきますと、これは日本銀行というか、主としてこれは政府の関係で、まずチェンマイ・イニシアチブというものがございまして、この点でドルの資金供給ができる、あるいはそれぞれの自国の通貨の供給ができるということで体制を組んでおります。
 それから、中央銀行独自の取組ということでいきますと、日本銀行は韓国あるいは中国の人民銀行とスワップ協定を結んでおりまして、相手が例えば円を必要とするというときには、例えば円が供給できるという体制を組んでおります。
 それから、昨年、これはタイの中央銀行との間でこういう取決めを結びました。つまり、例えば日本の企業がタイに進出している、あるいは進出している日本の企業を支援するために日本の金融機関が進出するというときに、現地通貨、タイ・バーツで資金供給を行うときに、日本国債を担保としていつでも資金供給ができるという体制も、これはタイの中央銀行と日本銀行が相談して、この制度も実はもうスタートさせております。
 こうしたことを通じてアジアの金融市場の安定ということについてもしっかり努めていきたいというふうに思っております。
広野ただし  それと、なぜ日本が、日本もいろんな意味で経済的にデフレ状況で苦しい中でユーロに対しても円高になると、こういう事態になっています。かつてないくらいに円高になって、百円を切る、ユーロがですね、まあ切るという言葉になるのか、九十八円台とかですね、そういういろんな形になっております。
 日銀さんはこの間も、ドルに対しては外貨建て融資といいますか、という形で一兆円だったですか、ドルに対してはなされました。日本も欧州との関係は非常に深いわけで、貿易も盛んであります。やはりユーロに対して円高になるということで非常に影響も、苦しんでいる企業もいっぱいあるんじゃないかと、こう思うんですが、そういう、まあここでおっしゃるのはどうかと思いますが、ユーロに対する外貨建て融資というような措置というものは、どうでしょうか、御検討いただけないんでしょうか。
参考人
(白川方明君)
 お答えいたします。
 日本銀行は外貨資産を約五兆円有しておりまして、この五兆円の外貨資金をどのような形で使うことによって中央銀行としての責務を果たせるのかということについて先般改めて検討を行いまして、その方針を発表いたしました。
 一つは、これは日本の金融機関が外貨の資金繰りに窮するというときに資金供給を行える体制を組んでおく。つまり、いざという場合に外貨資金が供給できるということでございます。それから二つ目は、これは国際金融協力ということでございます。それから三つ目は、今先生御指摘の、私どもの言葉で言いますと、成長基盤強化の支援の一環として外貨資金を貸し付けるということでございます。
 現在、日本銀行が保有している外貨資産については、これは現在の国際金融市場の実態を反映しましてドルが大宗を占めております。この持っているドル資金を使ってドルを貸し付けるということでございます。
 したがいまして、ユーロでそうしたことを行うというためには、そのユーロ自体をあらかじめ持っていないといけないわけでございますが、現状、日本銀行のユーロの保有というのは大きな金額ではございません。そういう意味で、日本銀行として現在持っているその外貨資金の有効な活用という点で、先般、中央銀行としてはそれほどその例が多いわけではございませんけれども、こういう制度を始めましたけれども、ユーロについてはそういう状況にあるということを御理解をいただければというふうに思います。
広野ただし  先日も質問に大分前に立ちましたときに、安住大臣に、これは円と元、中国との関係ですね、これ、中国との貿易がこんなに多くなっているのにドル建てにしたりという形になっているわけですね。ですから、円・元決済、直接決済というものを申し上げて、それが今かなり実ってきている状況だと思います。
 ドル偏重というのはやはりおかしいんで、そういう面では、ユーロ、こういうときに、ユーロに対して円高になっているわけですから何らかの措置を是非お考えいただきたいと、こう思うわけであります。
 ところで、もう一つ、国際協調は物すごく大切なんですが、日本のヨーロッパに対する債権ですね、これが日本の銀行セクターで主要四か国あるいは対EUででしょうか、五千三百億ユーロ、五十三兆円ですか、という形に債権が、銀行債権があります。そして、その中で公的部門、要するに国債等の、これが主要国四か国で千八百億ユーロ、だから十八兆円でしょうか、という形になっております。そういうものの債権保護、これはクレジット・デフォルト・スワップシステムというか、CDS等のこともあるとは思いますが、これは日銀さんがいいのか、財務副大臣がいいのか、その点ちょっとお答えいただければと思います。
 銀行の債権保護、日本の邦銀のですね、債権保護ということです。
参考人
(白川方明君)
 御質問の趣旨は、日本の金融機関が持っているユーロ建ての債権の、あるいは有価証券の金額ということ……
広野ただし  大体言いましたから。全体的には五十数兆円ですね。
 そういうときに、どうやって、まあもちろん国際協調でそういうことが起こらぬようにという形で考えていくわけですが、実際問題として、また、銀行というのは足が速いですから、債権をいろいろな形で別のものに持っていくというようなこともやっているんではないかとは思いますが、全体的にどういうような、邦銀の債権保護をどういうふうに考えるかということです。
参考人
(白川方明君)
 先生御指摘のとおり、日本の金融機関が欧州の様々な有価証券を保有するという金額は、これ大きな金額になっております。金融機関の経営の健全性、ひいては金融システムの安定性をしっかり維持するということが非常に大事でございます。
 この点については、まず個々の金融機関自身がしっかりとしたリスク管理に取り組むということが、これは大原則であります。それから、しっかりとした自己資本の備えを持つということも大事でございます。この点では、日本の金融機関は、今回の欧州の危機に先立ち、一九九〇年代の後半に金融危機を経験したということもありまして、この面での体制整備というのは随分進んできているというふうに思います。
 その上で、これは金融庁も日本銀行もそうでございますけれども、個々の金融機関のリスク管理体制、これを検査、考査を通じてしっかり見ております。それから、その上で、金融システムの一角で何か問題が起きたときにこれが大きな影響を及ぼすんではないかという問題意識だというふうに思います。
 この面では、まずはユーロという資金につきましては、これはユーロの欧州の中央銀行がしっかり資金を供給するということが大事でございますし、それから、国際金融市場全般の混乱ということになりますと、これは何といってもこれはドルでございます。そういう意味では、そのドルの資金供給という面で、先ほど申し上げましたスキームを使ってしっかり供給をしていくという体制を組んでおりまして、こういうことを通じてしっかりと金融機関の安定性を維持していくということに取り組んでおります。
広野ただし  安住財務大臣がG20に行っておられるとは思いますが、それで藤田副大臣に、ヨーロッパの信用不安問題についての財務省の見解を伺いたいと思います。
副大臣
(藤田幸久君)
 日曜日のギリシャの総選挙におきまして、二つの政党が中心となった新しい与党が、この財政健全化ということ、それから様々な構造改革を行うと、そういう形で選挙結果になったということは、G7の財務大臣会議の中でも評価をしております。ユーロ圏に残っていただいたということが、これは全ての関係国にとっての利益だという立場で評価をしております。
 ただ、これでもって根本的な問題が解決したというわけではございませんで、やはり財政と実体経済と金融、それから先ほど来対岸の火事という話が出ていますが、やっぱり去年から見ておりまして、両岸というよりも、川を挟んでというよりも、やっぱりリンクをしておりますし、それに民主主義という要素がやっぱり非常な大きな要因でございますし、やはりいろいろな意味でのマネーゲーム的な動きといったことも含めまして、これからもやっぱり相当この金融システム全体について注視していかなければいけないというふうに思っております。
広野ただし  終わります。