会議種別:
参議院本会議
会議日時:
2013年2月1日(金曜日)午前10時1分開会

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発言者 発言内容
議長  これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。
(省略)
副議長  広野ただし君。
〔広野ただし君登壇、拍手〕
広野ただし  生活の党の参議院会長の広野ただしです。
 生活の党を代表しまして、安倍総理の所信表明に質問をさせていただきます。
 まず、アルジェリアの人質テロ事件の犠牲となられました方々、そしてまた関係の皆様に心から哀悼の誠をささげ、そしてまた衷心よりお見舞いを申し上げます。
 さて、昨年十二月の総選挙の結果、安倍政権が誕生しました。自公政権の復活です。総選挙の結果は、比例票で自公が約二千三百万票を獲得しましたが、野党全体では自公を上回る三千四百万票になります。この結果をどう受け止めるのか、総理に伺います。決して自公が国民総意の過半を占めたわけではなく、野党がばらばらだったからの結果であって、この点間違わないで政権運営を丁寧に行っていただきたいと思います。
 ところで、日本は、過去六年間に六人もの総理が交代しました。その一番目は安倍総理であり、その七番目が安倍総理であります。
 政治は国の実態を象徴する側面がありますので、日本がまさに混乱期、動乱期、そして総理の言う危機的状況にあることは間違いありません。
 しかし、与野党とも大いに反省する必要があります。トップを替えればよいというものではありません。これだけ総理を交代させると、日本の国際的地位はどんどん下がります。また、人心も離れます。国民は、党派を超えて、政治は何をやっているのだとあきれ返っています。民間会社であれば、毎年のように社長が替われば会社は倒産してしまうでしょう。この六年間に六人の総理交代という日本の政治の実情についての総理の見解を伺います。
 総理は、我々自身の手で強い日本をつくろうと呼びかけられました。強い経済とも言っておられます。これは明治政府の富国強兵路線とどう違うのか、強い日本の中身を説明願います。
 ちなみに、拉致問題、核・ミサイル問題で国際的に強い非難を受けている北朝鮮も、強盛大国、強い国家を目指すとして先軍主義で突っ走っています。近隣諸国をいたずらに刺激し、軍備強化の口実を与えかねないよう、強い日本と声高に言うよりも、着実な防衛力整備と国際協調路線で外交問題に対処すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 六年前に総理は、美しい国を目指すと言われました。美しい国の原点は、日本の原風景やふるさと、日本の山河、それを育んできた日本の歴史や伝統にあると考えます。今回の総理の所信には、日本の地方のことや、田園、農村、農業のことは全く触れられていません。強い日本と美しい日本との関係について、総理の見解を伺います。
 また、日本の地方の発展は、農業、農村の発展、そして地域中小企業の発展、さらに、地方主権など日本の統治機構や行政の抜本改革なくしてなし得ないと考えますが、総理の答弁を求めます。
 東日本大震災からの復旧・復興問題について伺います。
 復旧・復興の妨げになっているものに、膨大な瓦れきの処理があります。瓦れき処理は、地元で処理することを原則とし、その費用は国が責任を持って全額負担するなど、抜本的改革をしないと迅速に進まないと考えますが、総理の答弁を求めます。
 福島原発事故は、甚大な被害を地元や福島県等に与え、現在に至ってもなお事故収束に至っていません。現状は小康状態を保っているように見えますが、これも確たることは言えませんし、メルトダウンしている炉の処理や廃炉については、明確な処理方法や処理計画が定まらない状態です。
 もっと政府が中心となって、世界の衆知や各界各層の力を結集して、もっと早く全力で完全処理し、また完全廃炉までに持っていかないと住民の不安は消えないと考えますが、総理の見解を伺います。
 原子力問題については、政官業のトライアングルに加うるに、学会、そしてメディアの力、さらには海外からの圧力など、政治的スクラムが何重にも張り巡らされ、原子力村の存在が喧伝されます。
〔副議長退席、議長着席〕
 情報の提供や公開が透明かつ迅速に行われること、そして正当な判断がゆがめられることのないよう大いに注意し、公明正大な議論を通じて結論を得る必要があります。
 原子力発電の今後、使用済燃料や放射性廃棄物処理の問題、特に最終処分問題、そして廃炉計画について総理の見解を伺います。
 次に、司法改革と検察の在り方について伺います。
 小沢一郎さんのいわゆる陸山会事件、虚偽記載事件は、昨年十一月十九日、東京高裁で完全無罪となり、決着いたしました。今回の事案が完全な冤罪であったことは、検察側が公判において、検察の妄想によるでっち上げだったと証言していることからも明らかであります。
 二〇〇九年の衆議院選挙が半年以内に迫っていた二〇〇九年三月、特捜が当時民主党代表であった小沢一郎事務所に突然立入調査し、秘書を即日逮捕するという暴挙は政治的意図をも感じさせるものでした。その後、検察とメディアの強固なスクラムで、法と証拠に照らしてではなく、憶測と推測、そして、場合によっては検察の調書捏造によって小沢一郎さんの基本的人権は徹底的に破壊されました。
 極めて強固な意志を持つ類いまれな政治家である小沢一郎さんだから、無実の中にあっての冤罪を我慢我慢、そして、耐えに耐える毎日であったようですが、これは他人事ではありません。本件は、国家権力のうちでも最も強力な権限を持つ特捜が、これでもかこれでもかとマスメディアとぐるになって無実の人をも罪におとしめようとした誠に恐ろしい事案の一例であります。
 総理は、所信表明で、自由、民主主義、基本的人権、法の支配を世界的な基本価値と言っておられますが、そのような観点から本件についての総理の見解を求めます。
 また、検察の在り方、なかんずく特捜の在り方について、総理の答弁を求めます。
 また、小沢一郎さんの事案が、いわゆる検察のわなとして冤罪だったことがはっきりしたにもかかわらず、基本的人権を踏みにじられたことに対する検察の謝罪や、それに同調したマスメディアからの反省の弁も全くありません。このことについての総理の答弁を求めます。
 また、本件は、政治家を裁くという点では検察審査会法が適用された初めての案件でしたが、あろうことか、審査会にうその捜査報告書が提出され、それが一因となって強制起訴となりました。無罪判決の中で、このことは、あってはならないことと厳しく指弾されています。
 検察審査会は誠に無責任な体制になっていて、冤罪に対して誰一人として責任が追及されません。基本的人権を守る上でも検察審査会法の抜本的見直しが必要と考えますが、総理の答弁を求めます。
 さらに、後を絶たない冤罪を防ぐためにも取調べの全面可視化が必要と考えますが、総理の見解を伺います。
 生活の党は、党綱領にあるように、自立と共生の理念の下、自立した個人が自由と公正を規範とし、多様な価値観を持つ他者と互いに認め合う共生の社会を目指します。我々は、国民の生活が第一の原則を貫くとともに、国民の主権、地域の主権、国家としての主権を確立し、諸国家、諸民族、諸文化、さらには自然とともに共生するという基本的考えの下、世界の平和と持続的繁栄に貢献したいと考えています。
 半年後には参議院選挙ですが、生活の党は国民の支援を得て、強固な基盤をつくり、いつかは必ず国民の生活が第一の基本原則、基本理念にのっとった政権をもう一度打ち立てる決意を申し述べまして、代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
内閣総理大臣
(安倍晋三君)
 広野ただし議員にお答えをいたします。
 選挙結果の受け止めについてお尋ねがございました。
 昨年末の衆議院選挙で、自由民主党は多くの議席を得ることができました。しかしながら、これは、これまでの政治の停滞と混乱に終止符を打つべきだとの民意を反映したものであり、決して我が党に対する国民の信頼が完全に戻ったものではないと認識をしております。
 政権を再び任せていただく以上、謙虚な気持ちで、そして緊張感を持って政策を前に進め、国民の負託にこたえていかなければならないと決意をいたしております。
 頻繁な総理交代という日本の政治の実情についてお尋ねがありました。
 政策の着実な実現を図り、諸外国との信頼関係を醸成する上で、一人の内閣総理大臣がその任を長く務めることが望ましいことは論をまちません。我が国の危機を突破するための政策を前に進め、具体的な結果を積み重ねていくことによって、国民の期待にこたえ、政治の安定を図っていきたいと考えておりますので、御協力のほどをよろしくお願い申し上げます。
 強い日本の意味についてお尋ねがありました。
 明治時代と今とでは世界の状況も日本の状況も大きく異なりますので、私の言う強い日本を当時の富国強兵になぞらえるのは意味があるとは思えません。ただし、危機的な状況に直面する我が国の国力を何としても高めていかなければならないという思いは、明治政府の指導者とも共通するところがあります。
 他方、私が目指す強い日本とは、国民一人一人が将来への夢と希望、ふるさと日本への誇りと自信を抱き、目の前にあるような危機を突破していくことができる国であります。これは、個人を犠牲にして国家を優先させるという発想とは異なります。
 強い日本と外交・安全保障問題への対処についてお尋ねがありました。
 私が目指す強い日本の意味は先ほど申し上げましたとおりでございまして、近隣諸国をいたずらに刺激し、対立をあおる意図は全くありません。今後とも、国際社会と協調しつつ、外交・安全保障上の問題に対処してまいります。
 強い日本と美しい日本との関係についてお尋ねがありました。
 第一次安倍内閣において述べた美しい国、日本を目指すのは、私の永遠のテーマであります。そのためにこそ、目の前にある数々の危機を突破し、強い日本を取り戻していかなければならないと考えております。さきの所信表明演説で申し上げたとおり、農山漁村の豊かな資源が成長の糧となる、地域の魅力があふれる社会を目指してまいります。
 農業、中小企業の発展及び地方分権など、統治機構の改革についてのお尋ねがありました。
 地方の元気なくして国の元気はありません。中小企業・小規模事業者の活力を引き出すとともに、攻めの農林水産業を推進するなどにより、地域の魅力があふれる社会を構築してまいります。そのためにも、地方が自らの発想で特色を持った地域づくりができるよう、国と地方の役割分担を見直し、国から地方へ事務権限を移譲するなど改革を進めてまいります。
 瓦れき処理についてのお尋ねがありました。
 瓦れきの処理については、岩手県及び宮城県において三十一基の仮設焼却炉を設置するなど、地元での処理を最大限実施しております。また、処理費用については、補助金と震災復興特別交付税により国が支援し、実質的な災害団体の財政負担をゼロとしております。また、福島県においては、県内で処理することを基本とし、補助金と震災復興特別交付税による被災団体の支援に加え、国の代行処理や直轄処理を進めております。
 政府としては、引き続き瓦れきの処理の加速化に全力で取り組んでまいります。
 東京電力福島第一原発の廃炉についてお尋ねがありました。
 東京電力福島第一原発の一日も早い安全な廃炉は極めて重要であると考えております。他方、これまでに経験のない技術的に困難な課題を伴うことから、国が前に出て研究開発の主導的な役割を果たすことといたしました。その際、海外専門家によるミッションの受入れや国際共同研究などを通じて世界の英知を結集して取り組んでまいります。
 原発の再稼働については、科学的安全基準の下で判断していくこととし、原発の新増設については、ある程度の時間を掛けて腰を据えて検討してまいります。
 使用済燃料への対応は世界共通の課題です。我が国は世界でも高い技術を有していることから、世界各国との連携を図りながら取り組んでまいります。特に高いレベル放射性廃棄物の処分については、国が前面に立ち、取組を強化してまいります。
 いわゆる陸山会事件やその捜査の過程における問題、この事件の無罪確定に対する検察やマスコミの対応、特捜部を含む検察の在り方、検察審査会法の見直しについてのお尋ねがありました。
 個別の事件に関する裁判所の判断等については、総理大臣として所感を述べることは差し控えます。
 他方、特捜部を含む検察は、刑事司法において重要な役割を担っており、検察官の捜査活動に対し国民から疑念を抱かれることがないよう、常に法と証拠に基づく厳正公平な職務遂行を行い、国民の負託にこたえていくことが重要であると考えます。
 検察審査法については、起訴議決制度が導入されるなどした改正法が平成二十一年五月に施行されたところであり、施行後の期間が短いことなどからその運用実績を注視していきたいと考えております。
 取調べの可視化についてのお尋ねがありました。
 取調べの録音・録画制度の導入については、現在、法制審議会において審議が行われています。この問題については、取調べに与える影響や国民の安全、安心を求める期待にも十分に配慮し、バランスの取れた検討を行う必要があると考えております。
 以上でございます。(拍手)