会議種別:
参議院財政金融委員会
会議日時:
2013年3月21日(木曜日)午前10時開会

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発言者 発言内容
委員長   財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等の基本施策及び金融行政に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

(省略)

広野ただし  生活の党の広野ただしです。麻生大臣の所信について伺いたいと思います。
 いわゆる三本の矢、大々的な金融緩和、機動的な財政政策の発動、そして成長戦略、こういうことですが、いずれにしても、それはパイを大きくするということ、そして、まずそれがあって、所得が増えて好循環になっていく、こういう比較的楽観的な見通しでできていると、こう思うんですが、実体経済がなかなか付いていかないということも先ほどおっしゃっておりました。
 それで、これはオバマ大統領も言っているんですが、中間層の底上げが経済成長のエンジンになる、私たちも、国民生活を第一にするという立場から、またそうすることがやっぱり本当に豊かさを実感できる大事なことなわけで、この賃金、所得、あるいは失業率の改善というところを本当にこの三本の矢だけでできるのかどうか、そこのところをちょっとお伺いしたいと思います。
国務大臣
(麻生太郎君)
 これは間違いなく、日本の経済というものを再生させていくという意味におきましては、これはどう考えても、日本経済の中に、実体経済の中に実需というのをつくり出していくということは、これは絶対に避けて通れないところなんだと思っておりますので、そのためには、企業活動が活性化するとか、また、御指摘のように、雇用とか所得とかいうものが拡大していくという意味で、経済全体の金の回りというものを良くしていかないとどうにもならぬというものだと思っております。
 前の予算委員会で申し上げたと記憶していますけれども、やっぱり東証上場企業のうちで四〇%以上の会社は実質無借金ということになっておりますのが実態です。これは、日本の企業というものは自己資本比率がやたら低いじゃないかと、昔かつてのBISやら何やらからやたら言われた時代とはもう全く今の状況は違って、日本の企業というのは極めて自己資本比率が高い企業になっているんですが、その企業が自分たちの中で内部留保として持っておられる金が二百兆だ二百五十兆だという話になってきますと、本来はその金は配当に回してもらうか、若しくは給与を上げる、労働分配率を上げてもらうか、又は設備投資に回るべき金がそのままじっと中に残っているという状況が、企業が、景気が回復してもその状態が続くというのであれば、おっしゃったような懸念というのは更に拡大することになりかねぬということだと思いますので、そのために、今回、政府としては、所得拡大促進税制として、給与の支払を増加していただいた企業には支援するとか、また、雇用をということで、雇用促進税制として、雇用を増加させた企業にはそういった恩典を出しますとか、いろいろ施策というものを今講じておりまして、給与所得が二十四年度上がった場合は、今五%になっておりますが、それが一〇%までの控除を認めますとか、また、雇用を促進していただいたところですと、税額控除二十万円から倍の四十万円に引き上げますとか、いろんなことをやらせていただいております。
 また、賃金を引き上げていただくというのは、これはやっぱり企業にとってはなかなか、経営者側にとっては難しいところだというのだとは思いますけれども、総理から二月の初め、私からも三月の初めに経済界に対して直接要請をする、これは少々、自民党として、賃金の値上げ交渉を自民党がやるなんというのはちょっと従来、我々の仕事じゃないんです、などとは思わぬでもありませんでしたけれども、しかし、とにかくこれすごく大事なことだと思いましたので、そういった意味でやらせていただきまして、明るい兆しも出てきておると思いますので、いずれにいたしましても、御指摘の点を踏まえて対応していきたいと考えております。
広野ただし  大臣の丁重な御答弁、本当にありがとうございます。時間の問題もありますので、できるだけそこもまた簡潔によろしくお願いしたいと思います。
FRBは、失業率を六・五%というようなことをやっぱり目指しているんですね。FRBだけでできるわけではありませんが、やっぱり目標のないところには雇用の改善というのもないと思うんです。
私は、やっぱり現在四%前後と、日本の場合ですね、とすれば、三%を切る、あるいは二%台にできるだけ早く持っていくと、こういう一つの目標を掲げて、そこで雇用の改善にやっていく。やっぱり生活、暮らしの中で、失業というのはもう諸悪の根源です。やっぱり家庭が崩壊したり、場合によっては家を失ったり、もういろんなことになるわけで、これはやっぱり全体の政策の中の大きな目標にすべきだと、こう思っておりますが、特に実体経済をよく御存じの麻生大臣、そして副総理でもいらっしゃいますから、そこのところをどういうふうに、目標に掲げていくということはどうでしょうか。
国務大臣
(麻生太郎君)
 これは失業率が何%ぐらいがいいかというところは、これは先生、なかなか一概には言えないところで、一番景気のいいとき、時代であったにしても、数%、三%、二%あった時代がありましたので、あのときで二%ですから、そういった意味では、ヨーロッパみたいに十何%いっているなんということは日本の場合はありませんでしたけれども、日本の場合、その点はかなりな部分はほかの国に比べれば低いんだとは思いますけれども、まだ四%台というのは、もうちょっと下げてもおかしくないのではないか、もっといけないはずはないのではないかという御指摘は正しいと思いますけれども、これをパーセントでこれまでと言われると、ちょっとなかなか政府として、これまでにしなければならぬというようなあれをちょっと申し上げる段階にはないと、そう思っております。
広野ただし  物価目標については二%というのを言っているわけですね。これが二年でまず達成をされるとなりますと、その後、毎年二%ずつですから、日銀総裁期間の五年間なんかからしますと、八、九%物価が上がっていくと。
 しかし、実体経済が伴わないということになりますと、所得が上がらない、言わばスタグフレーションというようなことになりかねないわけですね。その懸念があるわけで、じゃ、同じ物価目標においてもそういうことをやるんですから、失業率についても、その三本の矢をうまく活用しながら、特に財政ですよね、財政の出動によってその改善はできるんじゃないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣
(麻生太郎君)
 いわゆるスタグフレーションに陥るのではないかと言われる御心配なんだと思いますけれども、これは実体経済の成長を伴わないで物価だけ上昇するということが発生した場合は、いわゆるおっしゃったようなスタグフレーションということになり得るんだと思いますので、そのために日銀との共同声明において、大胆な金融政策に併せて、政府として、今おっしゃったように、財政の機動的な対応とか経済の成長とかいうような話を申し上げているのであって、デフレの脱却と持続的な経済成長というものの実現を両方目指していくことにしないといかぬところだと思っておりますが。
 何にしても、とにかく金融と財政が出動しても実需が伴ってこない限りは今言われたところに一番陥りやすいことになりますので、三本の矢で言うなら、その三本目の矢が一番難しいところだと思いますが、そこが一番我々としてはこれから最も力を入れて取り組んでいかねばならぬところだと思っております。
広野ただし  中間層の底上げというような、そういうことがやっぱり非常に大切だと思いますが、そこがちょっと抜けているんじゃないのかなと、こういう懸念を一つ思います。
 それともう一つ、アクセルとブレーキですよね。先ほどからも出ておりますように、やっぱり消費税を上げますと、特に二十五年度はいいんですが、二十六年度、これはもう八パーになりますから、そのほか控除が縮小されるとか、基礎控除等が縮小されるということになりますと、やっぱり八、九兆円の国民負担が増えるということですよね。
 かつての橋本内閣のときもいろいろと心配をされました。そして、結局、不況に突っ込んでいくと。要するに、今までの大蔵省、財務省のやり方は、アクセルとブレーキの踏み方のタイミングが、特にブレーキが早過ぎるんですね。だから、常にゴー・アンド・ストップというのをやって、そして、経済が軌道に乗らないうちにやっちまいますから借金ばっかりが増えていると、こういうことなんです。
 それで、今度の場合は二十六年度、二十七年度、もう明らかにそれが来るわけですね。その点、どういうふうにお考えかということです。よろしくお願いします。
国務大臣
(麻生太郎君)
 今御指摘のありましたブレーキを早めに踏むというのは、一九九七年度、九八年度、例の三から五に上がったときの話をしておられるんだと思いますが、あのときは三税と言われる所得税、法人税、消費税三税が、九七年が四十一兆円、九八年が三十七兆円、多分四兆円落ちた。だから、増税したら減収したという話に結果としてなりました。あのときは九七年のアジアの通貨危機とかいろんなものが重なったせいもありますけれども、結果としては増税したら減収したという形になったのはもう事実と思っております。
 そういった意味で、私どもが法律を今度やらせていただくに当たって、これは自公民三者で合意をしておられますけれども、いわゆる税制抜本改革法附則第十八条にのっとって、いわゆるもう上げる、来年四月に上げるという前に当たっては、少なくとも名目成長率はどうしているとか、実質成長率はどうしているとか、物価動静がどうなっているかとか、いろんなことを全部突っ込んで、きちんとした、まあそのほかQEとかいろいろありましょうけれども、そういった財務諸表等々を全て見込んだ上でやっていくということを決めておりますので、そういった意味では、我々としてはこの点は十分に踏まえて、それまで、この十月までどういった情勢になるかというものを十分に考えないと、もう大丈夫だというのでいきなり踏んだら、まだ実体経済でいえば雰囲気だけ上がったって何も上がっていないじゃないかということになりかねぬという点は、我々としては十分に注意して臨んでいかねばならぬと考えております。
広野ただし  まさにブレーキを常に、財政再建のことが頭にあるものですから、常に早く踏むんですね。結局は長期的に見ると債務がぼんぼんぼんぼん膨らんでいるというのが過去十数年の、我々が学んでいる一つの教訓だと思いますので、機動的な財政運営というものを是非よろしくお願いしたいと思います。
 時間の問題もありますので、先ほどもあったように、私は、グローバル経済を中に入れるという面も確かにありますけれども、やっぱり地域経済等を考えますと、内需を振興しないとこれはもう本当にやっていけない。その中でも特に、自民党さんは公共投資重視ですけれども、地域経済の先ほどおっしゃった補修ですとかそういう改善をする、更新をするというのは非常に大切だと思いますが、何よりもやっぱり人を重視する、人を大切にする政治をやっていく、これが、教育投資は何かいかにもまだるっこいように思いますけれども、急がば回れで、やっぱり人を大切にすることによって、それが経済を発展する原動力にもなるというふうにも思っております。
 それともう一つは、大量生産、大量消費の考え方をきちっと変えないと、やっぱり、私はSMAPじゃないですけれども、オンリーワンですよ。オンリーワンの物ですとかサービスを提供をする。ですから、少々値段は高くても、そしてそれがちゃんと受け入れられると。もうヨーロッパでもみんな高級ブランドです。実態をよく見ると何かよく分からないんですが、やっぱりそういうものを世界中が買うわけですね。日本は、もう安かろう、大量生産でどんどん価格を下げていって首を絞めていると。それで、いろんな努力しますが、言葉は悪いですが、こっぱ集めの大木流しですよ。そんなことばっかりやってきている。だけれども、やっぱり高級なものを、物でもサービスでもオンリーワンの考え方でやっていくと少々値段は高くてもやれるんじゃないかというふうに私は思っております。特に、中小企業においてはそういうことをやるということが非常に大事だと思いますし、釈迦に説法ですが、中小企業は日本の九九%がそうですし、雇用だって七五%は中小企業で持っております。
 その中で、このポスト中小企業金融円滑化法のことですが、これはもう地域経済にとっても非常に中小企業の役割は大きいですから、ここのところで、今、常に問題になりますのがリスクをどこが取るかと。保証協会も頑張ってくれているんですよ。それで、地域の中小企業金融機関も頑張っている。だけど、最終的なところへ行ったら、どこでそのリスクを取るのかという世界になっちゃうんですね。それで、押し付け合いをやっていて、それで結局は中小企業は破綻の方へ行ってしまうというのが非常に多いわけで、ここのところを、ポスト中小企業円滑化法の枠組みをまず簡単にちょっと御説明いただきたいと思います。
国務大臣
(麻生太郎君)
 おっしゃるとおり、中小企業、どこがリスクを取るかというのは、最終的にはそれはもちろん経営者が取るんですけれども、基本的には、いわゆる金融機関というものがそういったものの、何というか、仲介機能というものを十分に果たさにゃいかぬというところなんだと思って、何となく土地があるから貸してやるんじゃなくて、出すに当たっては、少なくとも経営者の考えている経営姿勢とか、今売ろうとしているものとか、経営計画とかいうのをよく見極めて、この企業を育ててやるというような気持ちになってある程度リスクを取らにゃいかぬというところが本来の役割なんだと思いますけれども、その点、リーマン・ショック以降はちょっと特にその点は引けていたんじゃないかなという感じが私どもしております。
 したがいまして、この三月の円滑化法というもののあの到来した後につきましても、この円滑な資金の供給というのは極めて重要であろうと改めて思っておりますので、金融検査マニュアルというものをきちんとして、少なくとも我々金融庁が検査する、そういった立場にありますので、検査監督で、これは、問題は、貸していないところの方をきちんと指導するというような形にしないと、従来のつもりで、とにかく取りっぱぐれないようにだけというような形だけになりますと、逆に剥がす、引き揚げる、そういった方向に、逆の方向になりかねぬと思っておりますので、個々の借り手の方々の経営改善もきちんとしていただかなければならぬことはもうはっきりしておりますけれども、きめ細かい支援策というものをきちんとやっていかねばならぬ。これはかなり今回は各商工会議所からどこに至るまで中小企業庁と一緒にいろいろやらせていただいていると思っております。
広野ただし  保証協会が、あれ補正予算で五兆円になったんだったですかね。そして、政府関係の中小金融機関の融資枠五兆円という、ここのところはどういうふうになっておりますか。
副大臣
(菅原一秀君)
 経済産業省中小企業庁の方から答弁をさせていただきます。
 委員御指摘の借換え保証でございますが、お話しのとおり、三月六日に経済産業大臣を本部長とする中小企業・小規模事業者経営改善支援対策本部を立ち上げまして、補正予算で五百億の枠を取りました。事業規模で五兆円。この複数のこれまでの保証付きの借入れを一本化しまして、かつまたその返済期限を延長するというような対策を取るということに関しまして約五兆円規模で実施を行っていくところでございます。
 また一方で、業況が悪化をしている、しかし資金ニーズがある、そうしたところに対しまして、経営改善計画をしっかり出した上で、このセーフティーネット、大変低利の融資の貸付けを合わせて五兆円、計十兆円規模で行うことを今進めているところでございます。
委員長  広野ただし君、質問終了時刻が参りましたので、おまとめをお願いいたします。
広野ただし  はい、ありがとうございます。
 結局、起業をする、廃業をする、アメリカだと起業が多いわけですよね。日本はもう廃業の方が多くなっちゃっているという事態で、その中でも中小企業を守らないと地域経済がどうにもならないわけですね。ですから、本当に地域を大切にする、中小企業を大切にするということから、ポスト中小企業円滑化法の出口戦略を本当に万般にやってもらわないと、本当に日本の宝を失っていくということだと思いますので、よろしくお願いします。